fashionsnap
2018/02/11
国内最大ブティックを心斎橋に ヴァン クリーフ&アーペル代表が語るラグジュアリー市場成長の鍵
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2018/02/11
フランスの高級ジュエリーブランド「ヴァン クリーフ&アーペル(Van Cleef & Arpels)」の関西旗艦店となる心斎橋店がオープンした。御堂筋と長堀通の交差点の角地という絶好のロケーションに位置するビルの地下1階から2階の3フロアに入居。店舗面積は約640㎡で、国内の路面店では最大規模を誇る。開業セレモニーに訪れたヴァン クリーフ&アーペル ジャパンプレジデント アルバン・ベロワー氏に今後の成長戦略について聞いた。(文・写真 / 橋長初代)

1階はブランドを象徴するコレクションをはじめ、ジュエリーと時計、高額ジュエリーを展開。2階はブライダルコレクションを中心に揃え、御堂筋側の窓際に自然光が入る接客スペースを設けた。地下1階は多目的スペースとして、ギャラリーやイベントを開催する。黒を基調に、繊細なゴールドメタル素材を使用したインパクトのある外壁や、店内の随所に取り入れたアール・デコ調の装飾、京都の西陣織の老舗工房とコラボした金糸を使った作品など、豪華でありながらも、家にいるような落ち着ける快適な空間を目指した。
アルバン・ベロワー氏は、新店舗についてこう語る。「ブランドのランドマークになるようなフラッグシップショップを建てるためにずっと物件を探していた。心斎橋はラグジュアリーブランドが数多く集積するラグジュアリーのメッカ。とくに心斎橋の起点となるこの場所は角地にあり、ふたつのファサードを見せられるので、より多くの人に知ってもらい、ブランドの魅力を感じてもらえると思う」
日本国内の店舗数は、百貨店インショップも含めて現在17店舗。大阪ミナミエリアでは、大丸心斎橋店に店舗を構えていたが、シャネルの移転に伴い、現在地に移転した。「それぞれの商品に適した多様な空間ができたので、ブランドのアイデンティティをより表現でき、百貨店の売り場よりも豊かな体験を顧客に提供できる」(アルバン氏)。
昨年は、京都国立近代美術館で展覧会を開催。ブランドに対する認知度がアップしたこともあり、国内外で売り上げが伸びた。とくに、アイコニックで普遍的なデザインが特徴の「アルハンブラコレクション」はミレニアル世代にも人気が高いという。
商品政策は今後もあえて変えず、ブランドのアイデンティティを守りながらさらに発信力を強化する。旗艦店に加え、SNSやショート動画などを駆使し、ブランドの世界観と魅力をアピールしていく。2019年前半には、2013年に東京で開催したジュエリー好きのための体験型講座「レコール」も開催する予定。
店舗展開については、積極的な新規出店による基礎固めが終わったため、今後は既存店の改装、移転を進め、クオリティをより高めることに注力するという。その一環として、名古屋ミッドランドエクエア店は、今年9月、新コンセプトのショップに生まれ変わる予定だ。
今後の成長戦略についてアルバン氏は、歴史と技術の継承を第一に掲げる。「ラグジュアリー市場は全体的に成長しているが、ブランドごとに明確なアイデンティティが見えてきた。さらなる成長には、優秀なノウハウと明確なアイデンティティ、それらを巧みに組み合わせることが欠かせない。ヴァン クリーフ&アーペルについていえば、過去から引き継いできたものをいかに高いレベルで教育し、一貫性をもって引き継いでいくかが重要。そのためには、優秀な人材の採用と職人の育成を継続することが大切で、熟練した職人が若い世代に高い技術を継承し、時間をかけて習得していくことに努力を惜しまない」
心斎橋店では、1940年代から60年代に製作されたミュージアムピース(美術館などに収蔵されるような作品)を特別展示。今月28日まで、大阪出身の華道家、片桐功敦氏とのコラボによる生け花のインスタレーションも行われる。
心斎橋店のオープニングセレモニーには、女優の吉瀬美智子さん、ヴァン クリーフ&アーペル プレジデント兼CEOのニコラ・ボス氏、同ジャパンプレジデントのアルバン氏が登場。吉瀬さんが着けているのは、関西初上陸のハイジュエリー「アカプルコ ネックレス」。稀少な45.66カラットのエメラルド18石があしらわれている。参考価格は3億4730万円。イヤリング3410万円、リング5530万円、ブレスレット9000万円。(文・写真 / 橋長初代)
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