2016/08/26
現代ファッションの生みの親、ソニア・リキエル
2016/08/26
ソニア・リキエル(Sonia Rykiel)が作り出したファッションは、自由で、そして"皆"のものだ。8月25日、86歳で息を引き取った彼女は、ファッション業界に限らず、あらゆる分野の人々に影響を与えた。選ばれた人々のためではなく、自身の人柄そのものを表すようなクリエーションを発信し続けたデザイナーだった。

1930年、ルーマニアとロシア出身の知識階級の家庭に育ち、縫製業を営むサム・リキエルと結婚した後、50年代に初めてファッションの世界に足を踏み入れたソニア・リキエル。そこで初めてセーターを発表して以来、彼女にとってニットは欠かせない存在となった。
自身のブランドを立ち上げ、パリ左岸に初めての店を出したのは68年のことだ。パリの文化活動の中心でもあるサンジェルマン地区に、生涯魅せられた。自由で、既成概念を打ち破る斬新な感性を育み、「デモード(démode)("非"ファッション)」と称した、軽快で親しみやすいファッションを提案。体にフィットしたニット素材に、シンプルなカッティング、縫い目を表に出したり、裾の折り返しを省いたりと、ポップでシュールな美学を打ち出した。メッセージを編み込んだり、大胆なボーダーやスパンコール使いも新しいものだった。

男性的な規範がまだ根強い社会の中で、子供のような奔放さでファッションを革新したソニア・リキエル。クリエイティブでありながら常に既製服を意識したアプローチで、ストリートな感覚も忘れなかった。ニットで大きな成功を収めたブランドは、2012年にFirst Heritage Brandsに買収されるまで、どこのグループにも属さず独立を保ち続けた。
最後のショーでは、モデルに笑顔を浮かべるよう指示を出したという。太陽のように明るく、同時に月のようにミステリアスな想像力も秘めたソニア・リキエルは、文学にも情熱を注いでいた。本人の著書はもちろん、娘のナタリーの書籍もまた、彼女の複雑で豊かな人柄を教えてくれる。
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