fashionsnap
2019/07/14
模倣品の輸入差し止め件数は5万点以上、イッセイ ミヤケなどがデザイン保護の重要性訴え
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2019/07/14
「イッセイ ミヤケ(Issey Miyake)」などを展開する三宅デザイン事務所は7月12日の今日、エルメスジャポン、ソニーと合同でメディア関係者を対象とした勉強会を開いた。横行する模倣品に対する近年の取り組みに触れ、デザイン保護の重要性を訴えた。

2018年に東京税関が発表した資料によると、デザインを模倣し意匠権侵害物品として差し止められた輸入商品は前年比25倍の5万点以上。摘発を逃れようと模倣手口の巧妙化が進んでおり、税関での差し止めが困難になりつつあることから、摘発できているものはごく一部だという。
三宅デザイン事務所の製品では「バオ バオ イッセイ ミヤケ(Bao Bao Issey Miyake)」の模倣品が広まっている。2010年頃から同ブランドのロゴが入った低品質なコピー商品が横行し、2014年頃からは「ノーブランド品」「バオ バオ風」といった売り文句でブランドロゴが無い模倣品が流通し始めたため、ロゴだけではなく図柄を商標登録することで対応していた。2017年以降はブランド「Avancer」を展開するラルジュ社をはじめ著しくデザインが類似する商品については、誤認混同を消費者に生じさせるとして不正競争防止法違反を理由に訴訟を提起するなどの対策を取っている。三宅デザイン事務所の社内では、サンプルやラフ案の段階で同社の法務部がデザインを確認するなどデザインチームと密に連携を取ることで、知的財産権におけるリスク管理を徹底。模倣やデザイン保護などをテーマに社内向けの研修も行っているという。
近年は、デザインを活⽤した経営⼿法を推進する「デザイン経営」宣言を経済産業省と特許庁が発表するなど、デザインの重要性を説く声が高まっている。勉強会に登壇した三宅デザイン事務所 法務部長の中川隆太郎弁護士は「これからはデザインの社会的な重要性がさらに増していく時代。デザインの重要性が社会全体に認知されつつある一方で、模倣問題についてはあまりスポットが当たってこなかった」とデザインを取り巻く状況について話し、自社だけではなく他社や官民との連携を強化しながらデザイン保護の仕組み作りを強化していくという。
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