2016/06/16
ミラノメンズコレクション、今季の顔ぶれから見るイタリアファッション業界の裏事情
2016/06/16
6月17日~21日に開催されるミラノ メンズファッションウィーク17年春夏コレクションのプログラムは、非常にコンパクトになることが予想されている。昨今のショーや生産スケジュール変更の煽りを受けた最初のイベントと言えるかもしれない。

「カナーリ(Canali)」と「パル ジレリ(Pal Zileri)」の他は、「コルネリアーニ(Corneliani)」、「エルメネジルド・ゼニア(Ermenegildo Zegna)」、「ブリオーニ(Brioni)」といった主要メゾンが欠席を表明。また、「ロベルト・カヴァリ(Roberto Cavalli)」、「ボッテガ・ヴェネタ(Bottega Veneta)」、「アントニオ・マラス(Antonio Marra)」、「カルバン・クライン(Calvin Klein)」や、「エルマノ・シェルビーノ(Ermanno Scervino)」、「ヌメロ ヴェントゥーノ(N°21)」、「コスチュームナショナル(Costume National)」のほか、ピッティ・ウオモでショーを披露する「ルチオ・ヴァノッティ(Lucio Vanotti)」といった面々も今回は不参加となった。
合計で11組のキャンセルがあり、更に暫定スケジュールには登録していた「ステラ・ジーン(Stella Jean)」も結局辞退することに。
「グッチ(Gucci)」と「バーバリー(Burberry)」はメンズ・ウィメンズを一本化したショーにすることを発表し、「モスキーノ(Moschino)」はメンズとクルーズコレクションを同時にLAで披露したばかりだ。多くのメゾンがランウェイショーのスケジュールの変更を検討している現状で、今季はプレゼンテーション形式にとどめ、考える時間を稼ぎたいというブランドも少なくない。
「コルネリアーニ」も「現在起こっている変化に対応するため、一呼吸置きたい」としている。「これは非常に重要な変化であって、新しい市場の原理に現在のシステムが対応しきれないという問題だ」という。
また、「エルマノ・シェルビーノ」は、「コレクションアイテムはすべてフィレンツェのアトリエで仕上げている。メイドインイタリーの素材と技術をより細かに伝えるため」プレゼンテーションをすることに決めたと発表している。

ブランド50周年を迎える「ボッテガ・ヴェネタ」は、アーティスティックディレクターのトーマス・マイヤー(Tomas Maier)就任15周年も兼ねて、9月に「特別なランウェイショー」を開催する予定で、メンズ・ウィメンズを一度に発表する。
クリエーション面での過渡期を迎えている「ゼニア」、「カルバン・クライン」や、日本の投資会社シークエッジに買収され、創始者エンニョ・カパサ(Ennio Capasa)が退任した「コスチュームナショナル(Costume National)」など、色々な事情を抱えるメゾンもある。
新アーティスティックディレクター、ジャスティン・オシア(Justin O'Shea)を迎えた「ブリオーニ」は発表の場をパリに移し、7月にコレクションを披露するが、一方で「サルヴァトーレ・フェラガモ(Salvatore Ferragamo)は、マッシモ・ジョルネッティ(Massimiliano Giornetti)が去った後も、インハウスデザインチームによるコレクションを従来通りミラノで発表する予定だ。
前シーズンのランウェイショー41組から、今季は36組と縮小した感のあるミラノメンズコレクションだが、「プレゼンテーションを含めると、合計で84のコレクションが発表される。前年の79から数は増えている」とイタリアファッション協会のカルロ・カパサ(Carlo Capasa)会長。前シーズンの発表コレクション数は86に上っていた。
「ファッション業界は進化している。議論が起こるということは前向きな兆しだ。ミラノは変化を嫌うという謗りを受けてきたが、今回はそれを覆すことができた。プレゼンテーション形式にしても様々なやり方があって、真のダイナミズムが生まれている。エネルギーと新しい提案に溢れたファッションウィークになることを期待したい」と同氏は続ける。

新規に参加するブランドも6組あるが、うちイタリアからは「ボリオリ(Bogliol)」のみとなっている。メンズに特化したブランドで、今年の1月には非公式のショーをミラノで行った。今季が公式スケジュールに登録しての初参加で、初代クリエイティブディレクターとして就任したダヴィデ・マレッロ(Davide Marello)の2回目のコレクションを披露する。
他にもジョルジオ・アルマーニ(Giorgio Armani)の若手支援プログラムに選ばれた中国人デザイナ-、Miaoranがショーを行う。
しかし、こうした新しい参加ブランドを足しても十分でなく、最終日21日のショーは「ジョルジオ・アルマーニ」のみとなっている。
スケジュールの"穴"を埋めるプログラムとして、ファッションの未来について話し合うディスカッション「Crafting the future of fashion」を最終日に行うとの発表もあった。

また、若手デザイナーにコレクション発表の場を集める目的のスペース、「Men’s Hub」もスタート。ヴォーグタレント(Vogue Talents)と提携し、「Chin Mens」、「Farewell Footwear」、「Han Chul Lee」、「Matteo Lamandini」、「Omar, Omogene」、「Wan Hung」を迎える。
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