EFE
2017/02/15
ファストリ柳井会長兼社長「ザラはインスピレーションの源」
EFE
2017/02/15
今秋スペインに進出すると発表したばかりの「ユニクロ(Uniqlo)」。ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長は、スペイン発の「ザラ(Zara)」から、国外展開に向けた戦略におけるインスピレーションを得たと話した。

「インディテックス社には尊敬の念を抱いています。我々のようにローカルビジネスから始まって、今では世界中に店舗を持つグローバルな現象になっていますからね。『ザラ』は我々のお手本で、彼らの歩みに従ってきたところもあります」と柳井氏。ファーストリテイリング本社にて、スペインのEFE紙のインタビューに応えた。
68歳になる柳井正氏は、日本の長者番付で1位、世界でも35位に入るビジネスマンだ。「ザラ」の親会社、インディテックスグループを追い抜き、世界一のアパレル企業になると公言してはばからない。
ファーストリテイリングの16年8月期の売上高は1兆7864億円。インディテックス、H&Mに続いて、カジュアル専門店で世界第3位に浮上した。
「競争相手になり得ることは間違いないが、一方で、お互いを補完し合える存在でもあると考えています。『ザラ』がトレンドを重視しているのに対して、我々の商品は日常に取り入れるベーシックにファッション要素を盛り込んだもの。つまり、『ザラ』は我々の主要な競争相手ではないということになる」と説明する。
「ユニクロ」は現在世界18か国で1800の店舗を展開している。先日は、今秋にバルセロナへ出店し、スペイン進出を果たすと発表した。
「非常にうれしいです。91年だったか92年だったか、家族とバルセロナを訪れたんですが、その時からこの街に出店したいと考えていたんです。芸術的で美しいし、オープンな街ですね」。
スペインでの拡大戦略の一環として、今後バルセロナとマドリードに更なる出店を考えているという。
海外店舗数が国内店舗数を上回ったとはいえ、売上高では日本事業が勝る。しかし、柳井氏は今後2年で変わってくると見ている。
海外事業拡大に関する戦略としては、中国とインドを中心としたアジアに焦点を当てるという。また、南米も開拓の余地が多くある。
「我々にとって、南米は未知のマーケットです。スペインへの進出が南米へ出店を後押ししてくれるかもしれませんし、アフリカもあり得る」と柳井氏。
アメリカには少なくない投資を続けてきた「ユニクロ」だが、最近の同国の保護貿易主義には苦心している。柳井氏は常にアメリカを見つめてきた。彼のオフィスには、ニューヨークの街の古い写真やタイムズ紙の表紙が溢れている。
「政治について話すのは好きではありませんが、ドナルド・トランプ大統領の視点は完全に間違っていると思います。『アメリカ・ファースト』?こんな大国が保護主義に走ると、全世界が混乱に陥るかもしれない。すごく不安です」。
イギリスのEU脱退に関しても難色を示す同氏。「ユニクロ」は2001年に英国に初出店している。
「どうしてEUを抜けたいのか、さっぱりわからない。(イギリスは)グローバルな局面でリードするような存在であって、その逆を行くべきではない。がっかりしましたね」と話すものの、「ユニクロ」に関しては、イギリス脱退問題の影響はまだ実感していないという。
地方の小さな衣料品店をグローバルなブランドにまで押し上げた柳井会長兼社長。自身の関与の縮小を決断してからも会社が上手く回っていくことを望んでいるが、引退をするという選択肢はない。
一生現役でいるつもりだと話す同氏だが、会長兼社長の座を退いたときには、名誉職に就くことになるという。