2019/03/21
東京ファッションウィーク Day3、「ハイク」と「ザ・リラクス」のクリーンなリアルクローズ
2019/03/21
東京ファッションウィーク3日目。「ザ・ノースフェイス(The North Face)」とラストシーズンのコラボレーションを披露した「ハイク(Hyke)」や、初参加の「ザ・リラクス(The Reracs)」のランウェイなど、クリーンなワードローブが目を引いた。
「ハイク」、洗練された都会のユーティリティウェア

寺田倉庫でランウェイショーを行った「ハイク(Hyke)」。好評だった「ザ・ノースフェイス(The North Face)」とのコラボレーションも今回で最後となるが、先シーズンに引き続きミリタリーウェアをブランドらしくエレガントで知的に昇華したワードローブを披露した。
秋冬シーズンに向けてアウターが充実していた今回のコレクションでは、特にウールやフェイクファーといった素材が目立つ。オープニングルックの大きめのトグルを斜めにあしらったコートやポンチョはミリタリーブランケットから着想を得たものだ。モッズコートの裏地を表に使ったボアのロングコートも面白く、コンセプチュアルになりすぎずにあくまでもリアルクローズとして完成されたアイテムに仕上がっていた。クリーンなコレクションのアクセントとして、フリンジディテールや鮮やかなグリーンがモダンでアーティな色を添える。

ラストシーズンとなる「ザ・ノースフェイス」とのコラボレーションではメンズのモデルも登場し、定番のパーカやトップスのほか、袖が構築的にカーブしたオーバーサイズのダウンジャケットやダウンのネックウォーマーが印象的だった。他にも、引き続き協業している「ビューティフルシューズ(Beautiful Shoes)」とのシューズ、「チャコリ(Chacoli)」とのバッグに加え、今回は「ジュリアス タート オプティカル(Julius Tart Optical)」とのアイウェアも。
「ザ・リラクス」、カッティングと素材で魅せるニューベーシック

「ザ・リラクス」は倉橋直実が2010年に設立し、すでに10年を迎えるブランドだ。素材と実用性を重視した地道なものづくりで着実にファンを増やしているが、今回が満を持してのランウェイデビューとなった。
ウールのアンサンブル、チェスターコート、シャツ、トレンチ、テーラードジャケット。すべてワードローブの基本となる普遍的なアイテムが、ベージュやグレー、ブラックやネイビーなどニュートラルなカラーで並ぶ。しかし退屈にはならずクリーンで現代的なコレクションに仕上がっているのは、考え抜かれたサイジングと素材のお陰だろう。ショルダーラインを少し外側にすることで生まれる彫刻的なラインや、艶のあるウールの落ち感、絶妙な丈も良く、ドローストリングパンツやパーカなど適度にリラックスしたアイテムも織り交ぜて隙の無い都会的なワードローブを完成させた。
デザイナーの倉橋直美は販売職を経て社会人コースでパターンを学び、そのままデザイナーに転身した経歴の持ち主。ショー映えする世界観というものとは無縁だが、プロダクトとしての衣服と、消費者のライフスタイルやニーズに真面目に向き合ってきた軌跡が見て取れる。「Made in Japan」にこだわった上質さを追求しながらも、決して高額過ぎない価格設定も上手い。「ちょうど良い」を突き詰めたその先に生まれるクリエイティビティが感じられた。
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