2017/09/12
上期も減収減益のプラダ、デジタル戦略強化で立て直し図る 日本でも年内にECサイト開設
2017/09/12
プラダ(Prada)が、デジタル戦略の強化による立て直しを図っている。9月8日の決算発表直後には、株価が13.95%下落した同社だが、パトリツィオ・ベルテッリ(Patrizio Bertelli)会長兼CEOは未だ再建途中の段階であることを説明し、特にデジタル戦略の転換により長期的な成長を見込んでいると述べた。

オンラインでの活動も非常に活発なグッチ(Gucci)やルイ・ヴィトン(Louis Vuitton)といった競合ブランドと比べ、やや遅れをとっている感の否めないプラダ グループ。今年3月には、イタリアの大手メディアグループ、メディアセット(Mediaset)出身のキアラ・トザート(Chiara Tosato)と起用し、デジタル事業を一任した。
決算発表の場にて、同氏はグループの今後のデジタル戦略を明かしている。ECプラットフォームの拡大、実店舗とECとの完璧な連動によるオンラインショッピング体験の向上、より効果的で充実したオンライン上でのコミュニケーション、という3つの軸を基づくものだという。
「プラダ」のECサイトは現在ヨーロッパとアメリカでのみ展開しているが、今年中に、日本、中国、韓国、ロシア、オーストラリアで順次開設する。中東、南米といったその他の地域でも、2018年をめどに計画している。ECの売上構成比5%達成を目指す。
サイトの操作性を向上させ、SNSから直接アクセスできるようにするなど、「よりローカルな」システムを作り上げるのがねらいだ。まず、年内には「プラダ」と「ミュウミュウ(Miu Miu)」の全コレクションを揃える予定で、最終的には各国に合わせた作りのサイトを10ヵ国語で運営することになる。
さらに、「ネッタポルテ(Net-A-Porter)」や「マッチズファッション(MatchesFashion)」といったラグジュアリーECサイトとは既に取引があるが、これを拡大していく方針。
「新しいECプラットフォームを作り上げることで、ショッピングの新しいあり方を導入し、消費者と接触するあらゆる場所をフルに利用できるよう、オンラインと実店舗とを完全に連動させていく」とキアラ・トザート。
オンラインで注文して実店舗で引き取ったり、ECサイト上でパーソナルショッパーを通じて商品を購入したり、あるいは店舗で実際に商品を試着した後でオンラインで注文したり、もちろん自宅への配送も手配できる。また、自宅への配送に関しては、年内に主要都市における当日配送を可能にする予定だとしている。
そしてコミュニケーション分野も、「全方位でカバーしていく」と同氏は話す。オンラインにおけるコミュニケーション予算を増やしたい考えだ。
「SNSやメディアなど、全てをカバーする。エディトリアルコンテンツを強化し、商品に重点を置きつつ、顧客との接点ごとにより細かくターゲットを絞っていく」。
8日に発表されたプラダグループの上期業績は、売上高が5.5%減の14億6800万ユーロ(約1926億6200万円)、純利益が18.4%減の1億1570万ユーロ(約151億8500万円)と大きく落ち込んでいた。
(2017年9月12日現在、1ユーロ=131円で換算)
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