2016/08/02
今一番旬なスタイリスト、ロッタ・ヴォルコヴァに聞く 「『ヴェトモン』はよくできた商品で、欲しいと思わせる何かがある」
2016/08/02
デムナ・ヴァザリア(Demna Gvasalia)と近しいロシア人スタイリスト、ロッタ・ヴォルコヴァ(Lotta Volkova)。「ヴェトモン(Vetements)」から「バレンシアガ(Balenciaga)」まで、今最も旬なブランドの陰には必ず彼女の存在がある。他にも、「ゴーシャ・ルブチンスキー(Gosha Rubchinskiy)」や、NYの新進ブランド「Sies Marjan」、昨年デビューしたばかりの「Sander Lak」などのスタイリングも手掛ける。
フロントロウだけでなく、時にはランウェイにまで現れるファッションアイコン、ロッタ・ヴォルコヴァは、ウラジオストクに生まれ、ポスト・ソヴィエト期のロシアで育った。今日では、ヴァザリアと共にファッションコンクールITSの審査員も務めている。そんな彼女に、ファッションに対する見解やヴァザリアとの関係を聞いた。

――どうしてファッションの道に?
ずっと服が好きだった。17歳でロシアを出てロンドンに行ったわ。セントラルセントマーチンズで、アートや写真、ファッションを学んだ。それから19歳でメンズブランド「Lotta Skeletrix」を立ち上げたんだけど、それなりに上手くいったの。すごく楽しいし、簡単だった。でも、2007年にパリに移ったときから少し難しくなってきて、それで辞めて、スタイリングに携わるようになった。
――現在は?
もう8年くらいスタイリスト兼コンサルタントとしてやっているわ。キャスティングとかコレクションとか。あとはエディターとしても幾つか雑誌と仕事をしてるの。
――特に「ヴェトモン」との関係が深いとのことですが、デムナ・ヴァザリアとはどこで出会ったんですか?
お互いの友人を介して知り合ったんだけど、ある日自分のコレクション写真を見せてくれた。服自体は素晴らしいと思ったわ。でも、スタイリングというものがなかった。それで、私が協力すると申し出たの。ヴァザリアとは、2015年から一緒に仕事をしてる。ブランドのコンサルタントとして、コレクション、ランウェイショーのキャスティングからスタイリングまでを担当してるわ。
――「ヴェトモン」成功の理由は?
自分たちの好きなことをやっているところね!ファッションのシステムの中で守らなきゃいけないコードみたいなものに飽き飽きしていたの。何よりも自分や友達のための服を、楽しく作ろうって決めたのが始まりよ。「ヴェトモン」は、ものの見方そのものであり、生き方であると同時に、よくできた商品であり、欲しいと思わせる何かがある。色々なサブカルチャーだとか音楽シーンだとか、そういうものを私たちなりに解釈して提案しているの。
――「バレンシアガ」にもデムナ・ヴァザリアと共に関わっていますが、どうですか?
資材も予算も、今まで想像できなかったくらい自由に使えるんだから、本当にクールよ!それに、クリストバル・バレンシアガ本人を知る人達もまだ働いていて、そういう現場で一緒に仕事ができるのは、すごく面白いこと。

――「バレンシアガ」初のコレクションには、どのような手応えが?
最初のコレクションは大成功。前シーズンから25%も売上が伸びたの。クルーズラインの評判も良かった。着やすい服が揃っているしね。クールでユニークだけど実用的。既存のものを再解釈して、日常に取り入れるのにぴったりの服に落とし込んだ。
例えば、メンズのショーの最初に登場したルックだけど、これはクリストバル・バレンシアガが自分のためにデザインしたけれど完成しなかったコートを下敷きにしているの。デムナは、それを現代的に蘇らせたのよね。アーカイブをなぞるんじゃなくて、クリストバルの精神を再現しようっていうのが一番にあったわ。
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