
Bruno Joly
2013/04/10
中国国際服装服飾博覧会(CHIC)の来場者数減少、中国市場の先行き懸念を反映か

Bruno Joly
2013/04/10
中国の2012年の経済成長率は約8%と、世界的には引き続き好調な成長を見せているものの、15%の成長率を記録していた5年前に比べると減速している。3月26日〜29日に北京で開催された「中国国際服装服飾博覧会(CHIC)」でも、中国における消費者態度の変化が感じられたという。

中国の出展者たちは、「中国は難しい市場となりつつある。欧州市場に比べると好調ではあるが、5年前の水準からは減速している」と話す。これまで輸出や下請けを主要事業としていた中国メーカーが国内市場にも力を入れるようになっており、中国に進出した欧米ブランドとの競争はますます激化している。中国の老舗シャツメーカーTiantanのCathy Kong社長は、「中国経済は欧米に依存している。国内メーカーは今後、独自のブランドを開発していく必要がある」と語る。
今回の「中国国際服装服飾博覧会(CHIC)」では、来場者数は前年比10%減の約10万人となった。「CHIC」の共同主催者である中国服装協会のChen Dapeng副会長は、展示会開催中に行われた記者会見で「中国の経済成長は減速傾向にあるが、ファッション業界の成長率は2桁を維持している」と説明した。

仏プレタポルテ連盟のPatricia Brafmann氏は、「フランスブースでは来場者数の減少が見受けられたが、来場者の質は良くなっている。じっくりと時間をかけてコレクションを吟味しており、発注件数も増えた。マルチブランド化の傾向が強まっているようだ」と分析する。また、「CHIC」ヘの出展は今回が3回目だという独ブランド「Gerry Weber」のSabine Kreft氏は、「CHICでは、ブティックのバイヤーは少ない。卸よりも小売の傾向が強い」と話す。
中国における小売環境は徐々に変化している。主要都市では最近、ショッピングモールや百貨店に対し、セレクトショップに近い「バイヤーズショップ」が増えている。ただし、中国のメンズアパレルメーカーによると、「セレクトショップ形態は増えつつあるが、中国人男性はまだファッションに対して保守的で、自身のコーディネートに自信がない」という。これを反映するかのように、今回の「CHIC」ではメンズのオーダーメイドやデニムに特化したスペースが新設された。

また、次回開催までに、バーチャルサロン「e-CHIC」も開設される予定だ。会場に展示されていたデモバージョンによると、アバターを通じてバーチャルブースを訪問し、各コレクションをチェックできるようになっている。
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