2017/11/29
個展を初開催するジル・サンダー、自身のクリエーションを振り返る
2017/11/29
ドイツのフランクフルト応用工芸博物館では2018年5月6日まで、ジル・サンダー(Jil Sander)初の個展が開かれている。ハイドメリー・ジリーン・サンダー(Heidemarie Jiline Sander)は当紙に対し、彼女のクリエーションやファッション業界に対する見解を語ってくれた。

FashionNetwork.com(以下、FNW):初めて博物館で展示されるご自分の作品を見て、どう思われますか?展覧会を通じて、自身のデザインを再発見されましたか?
ジル・サンダー(以下、JS):過去にこだわったことは一度もないの。だから私のデザインのアーカイヴは多くないわ。私の作品は、広告写真とかランウェイのビデオとかで見られることが前提。ランウェイショーが実際に買うものに反映されるとは限らないけれど、改めて言えるのは、「ジル・サンダー」はよく出来たウィメンズのパンツスーツを売るブランドじゃない、ということ。設立当初からブランドはフェミニンだったわ。そこに少しだけアンドロジナスな要素が加わる。
FNW:ミニマルでクリーンなイメージが障害になることはありましたか?
JS:「ジル・サンダー」のクリーンさは、ソフトなものよ。特別に開発したテキスタイルを使って、質や作りに愛情と最新の注意を注いでいるの。カットやシルエットはミニマルなわけじゃない。ランウェイのビデオを見ればわかるけれど、彫刻のような立体的なシルエットが登場するし、視覚に挑戦するような意外なプロポーションが見られることも多いでしょう。ディテールに関しても、縫製には職人技が豊富に用いられているの。
FNW:最近のファッション業界は変わりましたか?
JS:デジタル化がファッションを根本から変えたわ。サイクルも短くなって、今では毎週移り変わるわね。そうすると、シーズン毎の大きなコレクションは立ち行かなくなる。それに、グローバリゼーションや顧客層の拡大によって好みも変化した。ヴィンテージファッションなんかは時代に逆行しているように思われるけれど、新しい消費者にとっては新鮮に映る。西洋のファッションもそれに影響されているわね。

FNW:1983年から84年まで、ウィーン応用美術大学のデザイン研究所で教鞭を執っていらっしゃいましたよね。今日の若手デザイナーにアドバイスはありますか?
JS:衣服に求められる必要不可欠な要素に集中して、未来への視点を失わずに時代精神を取り入れることね。ファッションは、課題にぶつかったとき、それを乗り越える強さをくれることもある。

FNW:「ジル・サンダー」ブランドの現在についてどう思われますか?ルーク&ルーシー・メイヤー(Luke & Lucie Meier)夫妻がミラノで発表したコレクションについては?ロドルフォ・パルアルンガ(Rodolfo Paglialunga)時代はどうでした?
JS:後継デザイナーを批評するのは好きじゃないの。でも、ブランドとしての「ジル・サンダー」の動向は興味深く追っているわ。
FNW:今後の計画について何かお伺いできますか?
JS:機会があって、もしそれが面白いプロジェクトだったとしたら、ノーとは言わないわね。
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