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掲載日
2022/03/03
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まるで高級寿司屋、ミタスニーカーズが選んだ数字に捉われないスニーカーの売り方

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fashionsnap
掲載日
2022/03/03

 「日によって価格が変わるわけではないが、入荷があれば提供する寿司屋の時価のようなイメージ」。ミタスニーカーズ(mita sneakers)が、「アディダス オリジナルス(adidas Originals)」とのコラボレーションモデル「FORUM 84 LOW MITA "ASK"」を製作した。取り扱いはミタスニーカーズの店舗のみ。販売日や販売足数は非公開のゲリラリリースという形式をとっており、価格は「ASK(お尋ねください)」となっている。同店のクリエイティブディレクターを務める国井栄之氏は今のスニーカー市場を「回転寿司」に喩え、「今回は江戸前の職人によるカウンターの寿司屋をやりたかった」と話す。



"職人"によるコラボモデルのディテール
 コラボモデルは、アディダスの「フォーラム(FORUM)」のローカットをベースに製作。当初はアディダスのAPAC(アジア太平洋)チームからコラボのオファーがあったそうだが、ベースモデルがバスケットボールということでアメリカのポートランドチームにハンドリングが移る。同時にオファーの内容も協業からF&F(フレンズ&ファミリー)モデルの製作依頼へと変わった。ミタスニーカーズの他にもヨーロッパ、アメリカ、アジアでいくつかのショップが選ばれ、各地でフォーラムのF&Fモデルを展開している。F&Fモデルの製作にあたり、アディダスからは「市場に影響を与えること」を期待されたという。「ミタスニーカーズの規模感では単体でのビジネス完結はあり得ない。良い意味でも悪い意味でも僕らにそこは期待していないはず。今回はリミッターをいくつも外して"本当に作りたいモデル"を愚直に追求しました」(国井氏)。

 デザインソースは、リーグトップ10のプロバスケットボール選手たちに愛用された1979年発表の「トップテン」の中でもUSAメイドのオーストリッチの型押しレザーをまとった幻の名品から着想を得た。「コンソーシアムのプロジェクトでは様々なモノやコトから着想を得て、モダンに昇華させたコラボレートモデルを製作するのですが、以前のadidas Originals for mita sneakersや今回のプロジェクトではあえてアディダスのアーカイヴを組み合わせることで、独創性と普遍性を併せ持つ逸足を作ることに注力しました」(国井氏)。スリーストライプはフォーラムがギザギザ仕様で、トップテンはストレート。コラボモデルではギザギザとストレートを片面ずつ配した。ハトメもトップテンのデザインではなく、フォーラムに準じたスペックを残したという。「寿司で言うとシャリ(フォーラム)とネタ(トップテン)。でも、ただ載せ替えるだけでスペシャルメイクアップと謳うのは回転寿司のロボットが作ったような寿司になるので、職人の丁寧な仕事のように細部にこそ拘りました」(国井氏)。ファーストサンプルはオーストリッチを模した型押しレザーでの試作だったが、クオリティに納得できずリアルオーストリッチレザーを選択。当時、”ASK"としてショーケースに飾られていたトップテンオーストリッチの風合いと重厚感を引き出すカラー指定や差し色となるシルバーの光沢感にも妥協せず、ディテールのやり取りは幾度にも及んだという。サステナブルデベロップメントの観点からも、自身も納得できない要らない物を作るより、妥協せずに残り続ける価値ある物の方が良いと考えたそうだ。実際にアイテムを見た関係者からは「数十年後にリアルヴィンテージになり得るモデルだ」と太鼓判を押されたという。

 非売品のF&Fとして製作したモデルだが、「足繁く通ってくれるスニーカー好きもミタスニーカーズにとってはF&F」と懇願し、関係者への配布分とは別に、アディダスの許可を得て数足を販売することとなった。
何故ASKにしたのか
 ミタスニーカーズは1990年代後半から抽選販売を行い、2014年の「ア ベイシング エイプ®(A BATHING APE®)」と「リーボック(Reebok)」とのトリプルコラボによるインスタポンプ フューリー(INSTAPUMP FURY)を販売した際に今では一般的な販売方法として定着したドレスコードを初めて導入した。2019年にはインスタグラムを用いたデジタルドレスコードを導入するなど、様々な販売方法を試して模索を続けている。今回はF&F前提で製作した為、数も限られていることから極端な方法を試したという。

 「現在のハイプなスニーカーって回転寿司みたいだなと感じたんです。リーク情報が出回り、製品の詳細が出て、発売日や販売方法が発表されて、抽選して、リセール市場でいくらになったかを気にする。タイムラインが一緒で、全部同じようにレーンを流れてくる。心太式にモデルを更新するだけになっているので、それらとは別の次元で発信してみたかったんです」(国井氏)。

 不定期で入荷し、1日の販売量もバラバラ。在庫があるタイミングで店員に聞くと価格を知ることができるその売り方は、まさにこだわりの強い職人による寿司屋さながらだ。「即完売する物が良いスニーカーといった偏った価値観にも疑問を呈したかったんです。"二次流通で何円になった"といった数字だけを気にしてスニーカーを見るのとは別の尺度で買って欲しくてASKにしました」(国井氏)。約3ヶ月をかけて販売していく予定で、在庫があれば一見客にももちろん販売する。
 「インターネットの発達やソーシャルメディアの登場で様々な分野の効率化が進むだけでなく、スピード感は何十倍も上がったと思います。さらに、コロナ禍で消費行動も大きく変わりました。でも、たまには時代に抗ってみようかなと。お金を貰って商品を渡すだけなら自動販売機で良いので、店舗へ何かを探しに行くという非効率が故の醍醐味をミタスニーカーズとして、そして実店舗を運営する小売りとして2022年の現代に表現してみました。そして、今回の一連の企画はこれだけにとどまらないので楽しみにしていて下さい」(国井氏)。
 

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