2019/01/29
毛皮養殖団体サガ・ファー、2017年は赤字転落 ブランドの毛皮離れと中国減速を受け
2019/01/29
フィンランドの毛皮養殖団体「サガ・ファー(Saga Furs)」が発表した2017年10月期決算は、税引前損失170万ユーロ(約2億1300万円)、営業損失450万ユーロ(約5億6300万円)を計上し、赤字に転落した。

前年の税引前利益は920万ユーロ(約11億5100万円)、営業利益が580万ユーロ(約7億2500万円)だったことを考えると大きな落ち込みとなっているが、特に大手ブランドが続々とファーフリーに転じたことに打撃を受けた。
近年「グッチ(Gucci)」、「バーバリー(Burberry)」、「マイケル・コース(Michael Kors)」、「ヴェルサーチェ(Versace)」を始め有名メゾンがコレクションから毛皮を撤廃すると発表している。欧米を中心に毛皮反対の機運が高まるなか、エコファーへ移行する動きが顕著だ。また、中国市場での減速も業績悪化の理由の一つとなっている。
さらに、ミンクの生産量は前年比で20%減少しており、価格も24%下落したという。フォックスの価格も20%下がったほか、為替も不利な方向に影響した。
サガ・ファーの仲介売上は28%減の3億1400万ユーロ(約392億6700万円)で、連結売上高も13%減の4570万ユーロ(約57億1500万円)となった。
しかし、毛皮業界の展望については楽観的な見方を示した同社。在庫が蓄積されている中国では減速したものの、やはり高い需要があるとという。さらに、ロシアでも回復傾向であるほか、韓国では伸び続けている。
一方で今回の業績悪化は、毛皮に反対する活動家にとっては吉報であるようだ。英ヒューメイン・ソサイエティー・インターナショナル(Humane Society International UK)のClaire Bassエグゼクティブディレクターは、「サガ・ファーの赤字転落は、あの産業が明らかに歴史の誤ちであることを意味している。2018年には『グッチ』、『ヴェルサーチェ』、『バーバリー』といったブランドが次々とファーフリーを掲げたが、毛皮の価格低迷やサガ・ファー社の業績悪化と並んで、こうした動きが確実に毛皮業界全体に打撃を与えている」とコメントしている。
(2019年1月29日現在、1ユーロ=125円で換算)
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