2019/07/24
ラグジュアリー:2018年にはM&A件数が22%増加
2019/07/24
デロイト(Deloitte)が発表した「Global Fashion & Luxury Private Equity and Investors Survey 2019」によると、ラグジュアリー業界におけるM&Aは2018年に過去最高の265件を記録したという。前年に比べ47件、22%の増加となっている。

昨年のファッション業界での買収劇といえば、米マイケル・コース(Michael Kors)(現カプリホールディングス(Capri Holldings))が18億3000万ユーロで「ヴェルサーチェ(Versace)」を取得したことが最大のニュースだろう。一方2017年は比較的平穏で、前年比6件増と動きの少ない年だった。ちなみに、2016年は70件増。
業種別に見ていくと、トップはラグジュアリーホテル業で、前年から29件増えた75件のM&Aが行われた。高級財の分野は合計145件と前年比11件増だった。内訳は、アパレル&アクセサリーが73件(-4)、ウォッチ&ジュエリーが28件(-1)、そしてコスメ&フレグランスが特に大きく伸び、前年比16件増の44件を記録している。
約43%のファンドが2019年にファッション・ラグジュアリーの分野の株を手放すことを検討している一方で、70%が新たにこの業界に投資する意向を示している。内訳は、アパレル&アクセサリーおよびコスメ&フレグランスが79%、ウォッチ&ジュエリーが36%、そしてセレクティブリテーリングが29%だった。
デロイトが集計したデータによると、「今後3年間で、ファッション・ラグジュアリー業界が年5~10%のペースで拡大すると投資家たちは見ている」という。「高級デジタル製品、コスメ&フレグランス、家具は非常に好調に伸びるとの思いから、年10%の成長を見込んでいるほか、アパレル&アクセサリーとホテル業も堅調(年5~10%)だと予想している。一方で車とプライベートジェットは減少、ヨット、ジュエリー、そしてセレクティブリテ―リングについては横ばいという考えだ」。

新しい傾向としては、ファッション業界における新技術やデジタル面での進化への関心が高まっているようだ。回答者のうち43%近くが、2019年には新しいテクノロジーに投資したいとの意欲を表明しており、こうしたグループにとっては、インターネット、ビッグデータ&アナリティクス、AI、ロボティクス、ブロックチェーンといった要素が投資の決め手となると見られている。
「市場の拡大は予想されているものの、高級デジタル商品への関心は減少した。既存の投資家は飲食業やファッションといったすでに確立された分野に惹かれる傾向だが、新規参入者は実験的なラグジュアリーに興味があるようだ」とデロイトは分析する。
地域別に見ると、欧州ではファッション&ラグジュアリーのM&Aが前年比41件増と大きく増えており、特にホテル業がけん引した。しかしその他の地域では、北米と中東が1件減、アジア太平洋が2件増、日本が4件増と前年とほぼ変わらない結果となった。今後3年間の展望については、アジアと中東がラグジュアリーをけん引すると見られており、両地域が毎年10%のペースで伸びると投資家は考えているという。
2018年に行われたファション・ラグジュアリーの分野におけるM&Aの平均取引額は前年から12%増えて2億3300万ドル(約251億8600万円)で、全体としてより小規模な会社を対象にする傾向が見られた。年商が0~5000万ドル(約0~54億円)の小規模ブランドが取引全体の65%を占め、前年の55%より大きな割合を占めている。また、5000万~2億5000万ドル(約54億~270億円)の中規模ブランドは25%減、そしてそれ以上の大規模企業も22%減となった。
(2019年7月24日現在、1米ドル=108円で換算)
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