2017/06/16
デルフィーヌ・アルノー、LVMH賞について語る
2017/06/16
6月15日に発表となるLVMH賞について、デルフィーヌ・アルノー(Delphine Arnault)が当紙のインタビューに応えた。LVMH賞のファイナリストの中には、日本から「アンブッシュ(Ambush)」を手掛けるYoonと「コウザブロウ」の赤坂公三郎の2組が選ばれている。

デルフィーヌ・アルノーは、LVMHグループの会長兼筆頭株主であるベルナール・アルノー(Bernard Arnault)の長女として生まれ、クリスチャン・ディオール(Christian Dior)やルイ・ヴィトン(Louis Vuitton)で経験を積んだ彼女は、ジョン・ガリアーノ(John Galliano)、ラフ・シモンズ(Raf Simons)、マーク・ジェイコブズ(Marc Jacobs)、二コラ・ゲスキエール(Nicolas Ghesquière)といった名だたるデザイナーと仕事をし、ユニークな視点を育んできた。
- LVMH賞のアイディアはどこから?
- 業界のリーダーとして、明日を担う才能を発掘し、援助して育成するのが我々の責任です。これが出発点ですね。その後の発展や、どんどん権威ある賞になっていくのを見るのはとても素敵なことでした。ハートに従ったプロジェクトです。
- 審査を2段階にしたのはなぜ?
- 今年は1200件もの応募が来ました。すごい数です。そこから21人をセミファイナリストとして選びました。そこから、本物のエキスパートの審査を受けることになります。カリーヌ・ロワトフェルド(Carine Roitfeld)、マリ=アメリー・ソーヴェ(Marie-Amélie Sauvé)といったスタイリストや、スージー・メンケス(Suzy Menkes)、ゴッドフリー・ディーニー(Godfrey Deeny)、ティム・ブランクス(Tim Blanks)などのエディター、そしてバイヤーのサラ・アンデルマン(Sarah Andelman)、リンダ・ファーゴ(Linda Fargo)、カルラ・ソッツァーニ(Carla Sozzani)、メイクアップアーティストのパット・マックグラス(Pat McGrath)にピーター・フィリップス(Peter Phillips)、あとはパトリック・ドゥマルシュリエ(Demarchelier)のようなフォトグラファーもね。違った分野の専門家が、若いデザイナーのキャリアをサポートするんです。よそでは出会えないような、50人近い業界の重要人物に出会えるんですから。それも2日間でね!
知名度も高まるし、有利なコネもできる。忍耐力というのも審査では重視しています。例えば、「ジャックムス(Jacquemus)」はある年に選ばれたけれど、賞は取らなかった。けれど翌年も戻って来て、そして特別賞を受賞しました。「マルケス・アルメイダ(Marques' Almeida)」もそう。ファッションは短距離走ではなくて長距離。毎日こつこつと積み上げることで、忍耐から成功がやって来るんです。
- 最終選考の審査員に有名なデザイナーを起用したのは?
- LVMHには世界でも指折りのデザイナーが揃っていると思います。カール(・ラガーフェルド)(Karl Lagerfeld)、ニコラ(・ゲスキエール)、マーク(・ジェイコブス)(Marc Jacobs)、JW(アンダーソン)(JW Anderson)、ウンベルト(・レオン)(Humberto Leon)、キャロル(・リム)(Carol Lim)。皆すばらしいクリエーターで、若いデザイナーがいるチームに囲まれています。
- 2017年の候補者の特徴は?
- 我々の時代の精神をよく表しているところではないでしょうか。ファイナリストのうち5名は女性ですし、そのことに関しては誇らしく思っています。それに、国籍も色々。クリエーションについては、メンズ、ウィメンズ、ユニセックスと様々ですね。
- 色々な背景を持った人々だということですね?
- LVMH賞はデジタルな賞でもあります。オンラインで応募するんですからね。現代では皆がパソコンを持っているという前提のもと、どんな人でも応募できるようにしました。それに、様々な国籍の人が参加するような、本当にグローバルな賞にしたいとも思った。ただ、18歳から40歳という年齢制限を満たしていて、2つの商業コレクションを手掛けたことがあればそれで良いんです。
- どうして新しいファッションコンテストが必要だと考えたのですか?
- 若い層にアプローチしたかった。真にインターナショナルで、真にグローバルなのはこの賞だけです。これは我々の時代を反映している。世界最高峰のデザイナーが審査員を務め、次世代を担うクリエーターを選ぶような賞も、他にはない。カール、ニコラ、ジョナサン、マーク、フィービー、ウンベルト、キャロルに会うことができるというのも、彼らの人生にとって掛け替えのない瞬間になることでしょうし、決して忘れられない体験でしょうね。
- 受賞者に望むことは何ですか?
- 真にユニークな視点と、スタイルと、ヴィジョンを持つこと。我々の時代に合ったアイディア。それに、自分のアイディアを分かりやすく表現し、自分のメゾンについて語ることも重要だと考えます。候補者はそれぞれマネキンを横に、審査員の前で10分間自分のヴィジョンを語り、彼らを説得しなければなりません。その後、私の父(ベルナール・アルノー)との昼食会が開かれ、各候補者と会話してから投票となります。
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