掲載日
2013/03/23
2013/03/23
仏流通大手PPRがKeringに社名変更:高級品とスポーツ&ライフスタイル事業に注力
掲載日
2013/03/23
2013/03/23
フランス流通大手PPR(ピノー・プランタン・ルドゥート)が、社名をKering(ケリング)に変更すると発表した。PPRは、「Yves Saint Laurent(イヴ・サンローラン)」や「Balenciaga(バレンシアガ)」、「Puma(プーマ)」、「Qeelin(キーリン)」など、ラグジュアリーからスポーツ&ライフスタイルまで幅広いブランドを傘下にもつ大手グループ。
社名変更は6月18日に開催される総会で正式承認される予定だが、3月22日には記者会見が行われ、François-Henri Pinault(フランソワ=アンリ・ピノー)会長兼CEOが新社名を発表するとともに、変更の理由を説明した。新しい社名の認知度を高めるため、3月末より世界規模の広告キャンペーンが開始される。
ピノーCEOが記者会見で説明した社名変更の理由は、いたって明解だ。PPRという社名は「Printemps-Pinault-Redoute」の略語だが、そのうち百貨店Printemps(2006年売却)と通販会社La Redoute(2013年末に売却完了予定)が同グループの手を離れたことから、PPRという社名が同グループの実態にそぐわないものとなったためだ。ピノーCEOは、国際的なグループとして成長するために、創業者一族の名であるPinaultを社名から切り離すことが重要だと説明する。
また、小売店など非中核事業を切り離し、今後は高級品事業とスポーツ&ライフスタイル事業に集中するとし、「グループの変革に向け、コーポレートアイデンティティの変更は理にかなった決断であり、必要なプロセス。新社名は事業分野の変化だけでなく、当グループの新たな本質を示すものだ」とコメント。「当グループはグローバル企業であり、フランスでの売上高は全体の5%にすぎない」という。
ピノーCEOは、「フランス本社では、2008年には外国人社員は1人しかいなかったが、現在では社員の国籍は17カ国に増えた。本社の業務内容も、マーケティング戦略、知的財産管理、Eビジネスなど、多岐にわたる。ニューヨークや香港に事務所を置き、社内規則の明文化を通してグループ全体の管理を行っている」と話す。
新社名の「Ker-」はグループの発祥の地であるフランス・ブルターニュ地方に由来し、ブルターニュの言葉で「home(家)」を意味する。語尾の「-ing」は「先へ向かって動いている様子」を表すという。英語の「caring(ケアリング)」に近い発音にすることで、「ブランドやパートナーを『ケア』していく」という意味も持たせた。
また、エンブレムにはフクロウを採用。フクロウは「知恵、保護、洞察力」を意味し、創業者François Pinault(フランソワ・ピノー)氏のお気に入りの動物だったという。人材を導き、育てるグループのシンボルとする。
さらに、「Kering KAI YUN」という中国名も発表された。PPRが中国を最優先市場と位置付けていることが分かる。

同グループは社名変更にあたり、3月末より北米、欧州、アジアで大規模な広告キャンペーンを展開する。欧州ではまずフランス、イタリア、英国で開始し、傘下ブランド「プーマ」の拠点であるドイツでは5月に会見を行う予定だ。
Facebook、Twitter、Linkedin、Vimeo、Youkuといったソーシャルメディアでもキャンペーンを行うほか、有名ブロガーのGarance Doré(ギャランス・ドレ)とのコラボレーション・キャンペーンも4月2日から展開する。
同グループのウェブサイトは9月にリニューアルし、クリエイターやジャーナリスト、ブロガーなどとのコラボレーションを強化していく予定だという。
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