2017/05/24
エルメス、リテール展開の整理進める 中国に注力
2017/05/24
エルメス(Hermès)がリテールの展開を世界的に整理している。特に海外での出店を加速する一方で、本国フランスに関しては、中規模都市の比較的小さな店舗を閉鎖するなど、見直しを進める。

「従来、我々はフランス国内で多く展開してきた。しかし消費者の動向は変化している。中規模の都市にある店舗は比較的小さく、商品数も少ない。近くに大きな施設ができれば、そちらに人が集まる。中規模都市は減速しつつある。反対に、マルセイユのような大都市は大きく伸びている」とエルメスのジェネラルセールスディレクターのフロリアン・クラン(Florian Craen)は当紙に語った。
「実際、開店より閉店する店舗の数が多い」とも明かす。フランスだけでなく、今年の初めにはアメリカのノースカロライナ州にあるシャーロットの店舗を閉店したほか、ロンドンのハロッズ百貨店にあったウォッチとジュエリー専門のコーナーも終了している。
3月に発表された通期決算では、世界中に315店舗を展開、うち33店舗がフランス国内にあるとのことだった。アクセル・デュマ(Axel Dumas)CEOは、「ここ5、6年は大体315店舗という数字に落ち着いている」とも強調する。2017年、18年と、それぞれ3店舗の開店が予定されている。
「空港にある小さなコーナーも閉鎖してきた。百貨店に注力する方が良い。新しく店を開くとき、対象とするのは地元の顧客であり、観光客ではない」とも話した。
エルメスは17年第2四半期中、イスタンブール、サンパウロ、長沙にそれぞれ新規開店を控えている。特に中国は好調な伸びを見せており、年1店舗の開店を予定しているという。「今まで中国は、メンズに偏った市場だった。それが今ではウィメンズが追いついている。それに、中国の消費者自体の意識も向上している。ブランドロゴにこだわる風潮は終わり、我々もその恩恵を受けている」と決算発表時のCEO。
「面白いのは、中国人消費者の購買力だけでなく、伝統や技術といったものを求めるスピードだ。急速に知識を身に着けているうえ、年齢層も下がりつつある」とも指摘した。しかし一方で、中国人の消費は「一時のような水準ではない」という。
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