2019/02/18
ロンドン ファッションウィーク:「バーバリー」、上流階級とストリートの出会い
2019/02/18
リカルド・ティッシ(Riccardo Tisci)手掛ける2シーズン目の「バーバリー(Burberry)」ランウェイは、テート・モダンを会場に披露された。引き続き英国文化の影響を色濃く受けたコレクションになっている。

ウィメンズ・メンズ共に、ストリートウェアと上流階級風のコンサバなスタイルが融合した力強い仕上がりだった。「バーバリー」らしさとは何か、というテーマに真正面から取り組むティッシの意気込みが感じられる。とはいえ、セントラル・セントマーチンズで学んだ彼は今回、自分が十代の頃に体験した"ロンドン"を取り入れようとしたようだ。
ティッシが青春時代を送った頃と変わらず、ここには未だに強い階級社会が残っている。オープニングを飾ったルック数型にもその影響は表れていて、90年代ロンドンのクラブシーンを彷彿とさせるアイテムもあった。
ブラックとホワイトのシアリングコートには複雑なカッティングを施してロンドン本社の所在地を記したほか、幅の広い縦ストライプのトラックパンツに巨大なユニオンジャックつきのパッファージャケットをスタイリングするなど、大胆なグラフィックのクラビングウェアが目を引く。
「90年代はレイブがたくさん開かれていたね。テクノに、オーバーサイズのジャケットに、トラックパンツだった。あの時代のロンドンに居合わせて幸運だったと思うよ。リー・バウリーに彼のバンドのミンティ、ボーイ・ジョージ、それからビョークもいた」とバックステージで語るリカルド・ティッシ。

足元はレインブーツ風のシューズ。ブランドのシグネチャーであるチェックを様々な形で応用したアイテムとしては、オーバーサイズのトレンチに赤いペイントを施したものや、ベージュ、イエロー、レッドをミックスしたパッチワークのメンズキルティングジャケットなどが登場。新しい「TB」のロゴと共に、洗練されたアスレジャー風の装いが多く見られる。ショーの最後に姿を見せたリカルド・ティッシ自身も、新ロゴ入りのTシャツを纏っていた。
「ジバンシィ(Givenchy)」時代を思わせる、タフでシックなヘアスタイルが印象的だったが、特にストリートガールに変身したジジ・ハディッド(Gigi Hadid)は目を引いた。しかし、後半になるにつれてダウンタウンからアップタウンへと移り変わり、レディライクなシニョンのモデルが現れる。
長いランウェイを通して、ティッシは洋服の脱構築にこだわっていた。トレンチコートはカットしてアニマルプリントのシルクで仕上げ、レインコートのベージュをカクテルドレスやイブニングガウンに取り入れている。

客席は"ゴールド"と"シルバー"、二つのゾーンに分けられていたが、「片方は上流階級(エスタブリッシュメント)、もう片方はもっとストリートな感じ」とティッシ。
"ゴールド"はマホガニーを使った木製の講堂で、ビロードのアームチェアにまっすぐ伸びるランウェイを設置。一方"シルバー"の客はブロックに腰掛け、曲がりくねったキャットウォークに鉄製の足場が組まれていた。ショーの間、ティーンの子供たちがこの足場に上るというパフォーマンスも用意されていたが、彼らがフィナーレにかけて大きく手拍子する演出は観客の受けが良くなかったように思われた。
「彼らは自由の象徴だよ!今の子供たちは、僕がロンドンで青春を過ごした20年前のようにはいかない。あの頃はもっと自分を主張する機会があった。何かを排除するんじゃなくて、取り込んでいきたい。女王からストリートまでね。それに、いわゆる教育のある人たちも」とティッシは語る。「これこそ僕が『バーバリー』で描きたいストーリーなんだ」。
今回披露されたコレクションの中の数型は、すでに来月から一般販売される予定だ。新CEOのマルコ・ゴベッティ(Marco Gobbetti)は、毎月新しいアイテムを投入するという施策を始めている。

最新の「Title」ミニバッグに関しては、ショーの直後からインスタグラム、微信(Wechat)、Line、カカオトーク限定で発売が開始されている。
アップタウンでもダウンタウンでも、「バーバリー」は確実に前進しているようだ。
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