2017/02/28
賛否両論、今シーズンのミラノ ファッションウィーク
2017/02/28
先日終了したミラノ ファッションウィーク17-18年秋冬ウィメンズコレクションでは、公式スケジュールに登録された70のランウェイショー、そして92のプレゼンテーションが行われ、全体では174のコレクションが披露された。プログラム自体は充実していたはずだが、中身まで完璧とはいかなかったようだ。

最終日の大聖堂では、昨年12月22日に亡くなったヴォーグイタリアの編集長フランカ・ソッツァーニ(Franca Sozzani)を追悼するミサが開かれ、イタリア国内外の業界人が集った。
モデナのとあるショップのバイヤーは、「あまりぱっとしない」ファッションウィークだったと評する。「新しいものは何もない。トレンドやインスピレーションといった、惹きつけられるようなものが無かった。全部私たちに丸投げされたという感じ」だという。
「これが秋冬ものだから、余計にがっかりした。我々にとっては秋冬シーズンは非常に重要。面白いことに、『マックス・マーラ(Max Mara)』や『アニオナ(Agnona)』といった老舗ブランドが提供する本物志向の商品が一番しっくりきた」とも強調する。
パリの高感度なセレクトショップ、「カブキ・パリ(Kabuki Paris)」のバイヤー、エリナ・アリミ(Elina Halimi)も同様の感想を抱いた一人だ。「今回は、着やすさを重視した、商業的なアイテムが特に多かった印象。『プラダ(Prada)』は素晴らしかったし、『マックス・マーラ』のコレクションも気に入ったわ。本物の服、というものを前面に押し出していて、全部買いたいくらい!」。
コンフォートでありながら非常にエレガントなスタイルで、シンプルなアイテムからなるモノクロのコレクションを披露した「マックス・マーラ」。今日の消費者の要求に一番適格に応えていたブランドと言えるかもしれない。彼らは安定を求めつつ、一度しか出番のない服に度を超した投資をしたがらない傾向にある。
ミラノのランウェイ全体でも、同様の傾向が見てとれた。TPOを選ばず着まわしやすいアイテムを揃え、イブニング向けのラメや鮮やかな色使いなど、そこにちょっとしたアクセントを加えてエッジを効かせる。
しかし全体としては、やはりどこかで見たような、新鮮味に欠ける感が否めない。期待に応えることができなかったメゾンもあった。あるいは、過去のクリエーションを引っ張り出して満足しているブランドもいる。
一方で、新鮮な若い才能も今シーズンは注目された。「エンジェル・チェン(Angel Chen)」、「シュー・ジー(Xu Zhi)」、「アンナキキ(Annakiki)」の中国ブランド3組と、グルジア出身のデザイナーが手掛ける「シチュエーショニスト(Situationist)」は、ミラノ ファッションウィークに新しい風を吹き込んだと言えるだろう。
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