2019/06/17
ミラノ メンズ:「ヴェルサーチェ」の「ファイアスターター」
2019/06/17
「ヴェルサーチェ(Versace)」がミラノで発表したメンズウェアコレクションは、パンチが効いていながら洗練されたもので、ドナテラ・ヴェルサーチェ(Donatella Versace)はクリエイティブな面でも商業的な面でも素晴らしいショーを見せてくれた。

ザ・プロディジーのキース・フリントに捧げるランウェイには、もちろん『ファイアスターター』がバックに流れる。メンズ・ウィメンズともにロックなスタイルが多数登場し、ジジ・ハディッド(Gigi Hadid)はハーネスベルトつきのブラックレザーコート、ベラ・ハディッド(Bella Hadid)はダークグレーのパンツスーツにブラを合わせたスタイリングを纏った。
客席を覆うカラフルな「ヴェルサーチェ」プリントは、メンズのデニムジャケットやシルクのパーティーシャツにもあしらわれていた。ウィメンズでは、ナルキッソスとバッカスのクラシックかつポップなモチーフがパンツやカクテルドレスに昇華され目を引いた。
「惜しくも亡くなってしまったザ・プロディジーのキースは私の友人だった。このコレクションは彼に捧げたいと思ったの。ファッションショーで演奏してくれるようキースを最初に説得したのは私なのよ。評判も素晴らしかった。彼こそが本物の"ファイアスターター"ね!」とドナテラ。

キースのシグネチャーだったヘアスタイルを真似たモデルも登場し、スタッズがふんだんにあしらわれたレザーパンツや、カットオフしたアシッドデニムのルックでキャットウォークを歩いた。
それだけでなく、スーツやルダンゴトといったテーラードアイテムも。グレンチェックはコートだけでなくワックスジャケットにも使われていたが、グラミー賞ものの華やかな出来だった。
ランウェイ中央には大きな華のディスプレイに覆われたランボルギーニが展示されていたが、車は服のプリントにも登場している。会場のセットはカナダ人アーティストのアンディ・ディクソン(Andy Dixon)が手掛けた。

ドナテラいわく、スポーツカーは「マスキュリンとフェミニンが曖昧な境界線で出会う」場所なのだという。
「ヴェルサーチェ」ブランドはファッションだけにとどまらず好調だ。フレグランス事業は今や年商3億5000万ユーロ(約426億9500万円)に上り、アイウェアのライセンス収益も1億ユーロ(約121億9900万円)を超えている。
9ヵ月前、ヴェルサーチェ一族はメゾンを21億ドル(約2280億8100万円)で米カプリホールディングス(Capri Holdings)(旧マイケル・コース(Michael Kors))に売却した。
アクセサリーのデザインチームも新たに編成されたが、カプリとチームがバッグアイテムを上手く送り出すことができれば、さらに多くの増収が見込めるだろう。
現に「マイケル・コース」はバッグで大成功を収めてきた企業で、「ヴェルサーチェ」の未来は明るいように思われる。
(2019年6月17日現在、1ユーロ=122円、1米ドル=109円で換算)
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