2020/02/21
ミラノFW:「フェンディ」のソフトなパワー
2020/02/21
「フェンディ(Fendi)」の2020-21年秋冬コレクションは、言うなれば「ベルベットのグローブに包まれた鉄の拳」とでも言い表されるような、強さと柔らかさ、堅実さとロマンティシズム、禁欲とセンシュアリティといったコントラストが印象的な仕上がりだった。クリエイティブディレクターのシルヴィア・ヴェントゥリーニ・フェンディ(Silvia Venturini Fendi)は、かっちりした素材を使いつつ女性的な魅力を引き出し、二面性のあるソフトなパワーを多様に表現してみせた。

会場のセットもいつもとがらりと変わって、コージーなカーペットがキャットウォークとなった。客席には柔らかなソファも配置されている。キャスティングも新しく、ベラ&ジジ・ハディッド(Bella & Gigi Hadid)姉妹やカイア・ガーバー(Kaia Gerber)、マリアカルラ・ボスコーノ(Mariacarla Boscono)といったスターに混じり、プラスサイズのモデルも登場。カール・ラガーフェルド(Karl Lagerfeld)時代にはなかった光景だ。
時代は変わり、メゾンは多様でありながら巧みにバランスをとったワードローブを提案した。プロポーションや構造、素材、ディテールにいたるまで、すべてに注意が行き届いている。ほとんどのルックがグレーやペールピンクを使った単色のスタイリングになっており、そこに艶出しのレザーやゴールデンイエローのアンサンブルといったウォームカラーのアクセントが加わった。
バルキーなボリュームのミリタリーコートも多数登場し、力強さを感じさせる。真面目でレトロなドレススタイルも目についた。フェミニンな要素としては、ウールやカシミヤ、レザーを使ったテーラードアイテムに、コルセットを仕込んでいるのが印象的だ。カーヴィーなボリュームの中で、柔らかく女性の体の輪郭を強調している。
ジャケットとひざ丈スカートの組み合わせは非常に多かったが、レザーのマキシプリーツスカートや、ペイズリーをレオパード風に配置したモチーフのウールも登場。半袖のシャツカラードレスには、レザーのバイカールックが続いた。

ウエストをマークするベルトには、イヤーピースやタブレット用のタッチペン、スマートウォッチといった小さなデジタルギアがぶら下がっていた。他にも、「フェンディ」のパッケージングを模したオーバーサイズバッグやミニケースはヒット間違いなしのアクセサリーだろう。
ピンクのサテンブラウスは前をはだけてブラを見せるセンシュアルな着こなしに。トランスパレントなシフォンのドレスに、レースのスカート、フリンジのアンサンブルなども、フェミニンさを際立てていた。レディなレザーのロンググローブ、フューチャリスティックなヘッドバンド、メンズのソックスガーターを取り入れた足元も面白い。
しかし何と言っても、コレクションの鍵となるのはパフスリーブだ。肩より少し下の位置から膨らんで腕周りに大きなボリュームを添える。コート、ドレス、ジャケット、ファーアイテム、カーディガン、セーターなど、あらゆるアイテムに見られた。
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