2017/06/30
東レ、香港の大手ニットテキスタイル企業へ580億円相当を出資
2017/06/30
東レは6月30日、香港のニット・染色・プリント生地製造販売会社パシフィック・テキスタイルズ・ホールディングス(Pacific Textiles Holdings Ltd.)(以下、PTHL社)の株式28%を取得すると発表した。取得価格は40億5400万香港ドル(約581億5100万円)を予定している。ニットテキスタイル分野における拡大戦略の中で、同社の掲げる糸綿/テキスタイル/製品一貫型事業の更なる強化をめざすという。

1997年に香港で設立されたPTHL社は、世界有数のニットテキスタイルメーカーであり、特に欧米大手アパレルや製造小売り(SPA)向けに事業を展開している。東レグループと戦略的提携も結んだ「ユニクロ(Uniqlo)」向けの生産も担っており、設立当初から同グループとはニットテキスタイルの共同開発や生産委託で取引がある。17年3月期の売上高は59億9400万香港ドル(約859億7800万円)、営業利益は10億5700万香港ドル(約151億6200万円)で、中国とベトナムに工場を有する。
今回、筆頭株主であるIp Ping Im氏が保有するPTHL社の4億500万株を売却するということで、東レグループに購入を提案したという。7月中旬までに取得を完了する。
この出資によりグローバルな一貫型事業の拡大を加速するだけでなく、PTHL社のもつ欧米の商流と東レグループの技術力、グローバルなネットワークを融合し、双方の発展を図っていく。
東レグループの17年3月期の繊維事業における売上高は、前年比4%減の8561億円、営業利益は3%減の668億円。売上全体の42%を占める繊維事業では、素材/縫製品一貫事業の拡大を「ビジネスモデルの高度化」と位置付け、大手SPAやアパレルとの取り組み強化を戦略として打ち出す。ユニクロとの提携においてもグローバル化とデジタル化を軸に掲げ、「生産拠点のより一層のグローバル化・多極化」、「市場別最適生産の推進」、「グレーターチャイナ事業の成長を支える生産拠点の拡充」を目指すと発表した。
同社が2月に発表した中期経営課題“プロジェクト AP-G 2019”では、 「グローバルな事業の拡大・高度化」を基本戦略の一つに据え、設備投資、M&Aやアライアンスを重点施策としており、3月にはイタリアの子会社アルカンターラ(Alcantara)の施設増強も行っている。
(2017年6月30日現在、1香港ドル=14円で換算)
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