2018/01/23
パリ メンズファッションウィーク:「ヴェトモン」、アートと"模倣"の必要性
2018/01/23
「全ては模倣だろう?それに素直に向き合うことは良いことだと思う。僕たちが生きている世界では、多くのものが影響し合っていて、模倣されるために存在しているんだ」とデムナ・ヴァザリア(Demna Gvasalia)は話す。

パリの北の外れのクリニャンクール蚤の市、その一画にあるマルシェ・ポールヴェールにて、「ヴェトモン(Vetements)」のショーが行われた。アンティークの店が軒を連ねる回廊をキャットウォークに、パンクな若者がモデルとして練り歩く。
奇妙でいながら美しい組み合わせの中でも、特にビルやスイーツ、果てはマリリンマンソンに至るまで、雑多なイメージがプリントされたシャツは目を引いた。ファティーグジャケット、カーゴパンツ、オフィサーコートなどには、パスタマシンのような穴が空く。他にも、ブランドの名前をあしらったオーバーサイズパーカや、「リーボック(Reebok)」とのコラボレーションも。
「本当のヴィンテージのように見せるため苦労したよ。すごく難しい」とヴァザリアは笑う。
スイスに本社を移してから初めてのコレクションとなる。イタリア製ではあるが、ウェアの品質にもそれが表れているように思われた。最初のルックは、袖がブルーノジャカードになったブラウンのナイロンコート、ジャッキー風サングラスをかけたマダムなものだったが、続く一覧のコレクションはどれも、洗練されたストリートだ。しかしとりわけ注目すべきは、レタリングだろう。オーバーサイズTシャツには様々な単語やフレーズが飛び交っている。中には、「Russia Don’t Mess with Me(ロシアよ、俺に構うな)」といったメッセージも。ロシアとの戦争によって故郷から逃れることになったデザイナーの幼少時代に関係する言葉でもある。
実際、幼少時代への言及は色々な形で表れている。マリリンマンソンのTシャツなどは、ソ連時代に手に入ることのなかったものだ。
「僕の好きなTシャツを取り入れた。それをカットして、奇妙なメッセージに仕上げたんだよ。意図したわけじゃないけど、運命かもね」とヴァザリア。
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