2015/06/26
パリ・メンズコレクションレポート: リック・オウエンスのスペクタクル、イッセイ・ミヤケとルイ・ヴィトンのエキゾティズム
2015/06/26
パリ・メンズコレクションのハイライト。問題行動を起こしたモデルに怒りを露にした「リック・オウエンス(Rick Owens)」、エキゾチックな牧神を表現した「ルイ・ヴィトン(Louis Vuitton)」、そして南米のカラフルな鳥をモチーフにした「イッセイ・ミヤケ(Issey Miyake)」。日本の新進ブランド「カラー(Kolor)」も目を引いた。

話題に事欠かない「リック・オウエンス」
デザイナーの許可無く勝手な抗議運動をしたモデルが話題になった、「リック・オウエンス」。
この出来事が多少影を落としたことは否めないが、それでも十分にスペクタクルな要素のあるショーだった。「サイクロプス」というテーマで、髪の束でできた大きな円筒形の被り物で顔と頭を覆ったモデルが、モンスターのような出で立ちで闊歩した。

また、リック・オウエンス得意の素材であるレザーで、今回はアメリカの軍服を再現。コレクションは「反逆、カウンターカルチャーと反戦の宣言」の精神を表しているという。ノースリーブや、膝丈のチュニック、ソールの厚いブラックのブーツなどで、シルエットを完成させていた。
「カラー」のカモフラージュとサンダル
「カラー」デザイナーの阿部潤一は、ミリタリーからインスピレーションを得て、抑えた色合いやカムフラージュ柄を使った。素材は、皺加工や、ごわっとした硬い生地、あるいは落ち感のあるものなど。ソックスはミディアム丈。しかし特に目を引いたのは、登山靴とサンダルをミックスしたシューズだ。

「ルイ・ヴィトン」のエキゾティズム
60年代のブランドスローガン、「Volez, voguez, voyagez(飛べ、漕ぎ出せ、旅に出ろ)」のプリントが、時にはシルクのブルゾンの背中に、時にはプルオーバーの前面に。アーティスティック・ディレクターのキム・ジョーンズ(Kim Jones)の手がけるショーには、カニエ・ウェスト(Kanye West)が出席し、バックミュージックはナイル・ロジャース(Nile Rodgers)が。

スポーツウェアと東南アジアの伝統衣装や、アロハシャツのシルエットとスタジャンなど、様々な要素のミックスが見られ、素材としては、シルクや刺繍、レザーなどを使用。ブルゾンやシャツのカラーは朱色やマリンブルーで、そこにアジアンなインスピレーション、エキゾチックな花や鳥のモチーフが踊った。
「イッセイ・ミヤケ」、東京とメキシコの間で
「イッセイ・ミヤケ」も鳥のモチーフにオマージュを捧げた。フォトグラファー水谷吉法の写真をモチーフに、若きデザイナー高橋悠介が提案したのは、電線に止まるインコのプリントが踊る鮮やかなシャツだ。バミューダパンツや、ボリュームのあるパンタクールとコーディネートされていた。

「都会に氾濫する自然」をテーマに、東京とメキシコという二つの都市にインスピレーションを得たコレクションだ。東京を象徴する抽象イメージは、ショートパンツやバッグ、スカーフなどにプリント。また、メキシコ人建築家ルイス・バラガン(Luis Barragan)の「シンプルな色使いや構造」の影響は、長めのジャケットの流れるようなラインや、フューシャのコンビネゾンなどに現れていた。
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