2017/09/27
パリ ファッションウィーク:ビッグメゾンの貫禄を見せた「サンローラン」
2017/09/27
イヴ・サンローラン(Yves Saint Laurent)と、ファッションビジネスの神様ピエール・ベルジェ(Pierre Bergé)に捧げられたオマージュだった。「サンローラン」の大胆でセクシーなコレクションは、セーヌ河岸に設けられた巨大なセットを会場に、エッフェル塔の光が照らす中で発表された。

有名なルックや、あるいはサンローラン本人の服装への言及も多数見られた。もちろん、クリエイティブディレクターのアンソニー・ヴァカレロ(Anthony Vaccarello)はそれをより複雑な形で昇華している。
シャープなブレザーにはシルバーのパイピングでコントラストを、ベージュのフォークロアブラウスはコンバットショーツとスタイリングしてみせた。また、前が大きく開いた巨大な袖のパイレーツブラウスや、ビジューやクリスタル、ゴールドをあしらったミッドレングスのジャケットも登場。
さらにイヴ・サンローランの有名なタキシードで遊んでみたり、抽象的なメタリックジャカードのショートフロックなども観客を沸かせた。レッドカーペットやアフターパーティー帰りのようなルックが目立ち、中にはメンズも交える。
フィナーレに掛けては特に脚を見せるスタイルが目立ち、ファーのサイハイブーツはひと際印象的だった。ヴァカレロは「現代のダイヤモンド」と呼ぶ。
ヴィクトリア風のシースルーブラウスや、ボリューミーに膨らんだカクテルドレスなども、メゾンのクラシックなコードを取り入れたものだ。
「もちろんさ。ピエールのことを考えていた。彼とイヴのクレイジーなカップルのことをね。彼らが残したアトリエの技術を見せたかった。具体的なテーマというのはなくて、ただパリとイヴ・サンローランの話を伝えて、服作りを愛する人たちと服を作るのを楽しんだだけ」とショーの後に話したヴァカレロ。
「『サンローラン』を着る女性には、人生を謳歌して、パリを楽しんでほしい。そして夜には、闇を愛するんだ。エッフェル塔がありきたりだとしても、このありきたりな部分をより掘り下げたかったんだ。パリの美しい、ポストカードのような景色をね」と笑う。
巨大な会場も特筆に値する。トロカデロ庭園の噴水の上に、サッカー場はあろうかという広さのコンクリートのキャットウォークが設置された。
招待客には、開始15分前までに会場に入るよう通知するメールが送信されたが、45分ほど遅れて始まるのが常のパリでは非常に珍しいことだ。しかしそれも道理で、午後8時ぴったりになると、エッフェエル搭がまばゆい光を放ち、その中を最初のモデルが歩むという演出になっていた。
中にいる1500人の招待客のほか、会場の外にも多くの見物客が押し寄せた。「サンローラン(Saint Laurent)」を傘下に収めるケリング(Kering)グループのフランソワ=アンリ・ピノー(François-Henri Pinault)CEO兼会長は、入り口でアンヌ・イダルゴ(Anne Hidalgo)パリ市長を出迎えていた。
演出について賞賛の声が掛けられると、「ありがとう!確かに、エッフェル塔を正しい位置に建てたと思うよ」とピノー会長。
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