パリ ファッションウィーク:「クリスチャン・ダダ」、アイロニカルな崩壊の美学

 パリ ファッションウィークメンズ3日目にあたる6月23日、森川マサノリ手がける「クリスチャン・ダダ(Christian Dada)」が、18年春夏コレクションのランウェイショーを披露した。「Losing Power」をテーマに、制度やものが崩壊する様子をアーバンなウェアに落とし込んだ。

Christian Dada - Spring-Summer2018 - Menswear - Paris© PixelFormula

 大手ブランドのロゴを垂らしたグラフィティで有名なフランスのストリートアーティスト、ゼウス(Zevs)の作品に着想を得て、"垂れる"という概念を服で表現したという。
 
 しかし、森川が"垂らし"たのは、通常のフルイドな素材ではない。ざっくりと編んだニットベストや切りっぱなしのデニムのほつれた裾、カラフルなニットからフリンジ状に落ちる色とりどりの糸。中でも目を引いたのは幅の広いクロコダイルレザーをコルセット状に締めたベルトで、通常なら決して垂れることのない硬い素材が、腰から滴るようなフォルムを描く。首に巻いたネックベルト使いも印象的だった。また、ジャケットに施された「クリスチャン・ダダ」らしいメッセージエンブロイダリーは、文字が二重になって剥がれ落ちたような効果がアイロニカルな色を添えている。

Christian Dada - Spring-Summer2018 - Menswear - Paris © PixelFormula

 もちろん、プリントやモチーフも、ゼウスのグラフィティ作品同様絵の具が溶けて滴ったようなデザインに仕上げられていた。半纏風ジャケットの背中にあしらった歌川国芳の浮世絵刺繍も、目を凝らせば「クリスチャン」「ダダ」の文字と共にどろりと垂れている。グレンチェックのジャケットにも、上からインクを零したような加工が。
 
 カラーパレットは、少し褪せたようなスカイブルーや、ベージュのスエード、ブルーデニムなど、ヴィンテージ調の色使いが目立った。また、パンツやジャンパードレスに使われていたパッチワーク素材のほか、一面にビーズをあしらったパンツなど、ディテールへのこだわりがアーティスティックなクチュール感を添える。

Christian Dada - Spring-Summer2018 - Menswear - Paris © PixelFormula © PixelFormula - © PixelFormula
 
 一方で、オーバーサイズなシルエットを引き締めるウェストポーチや、レザーベレーといった小物使い、ロゴやメッセージで遊んだアイテムなど、トレンドの要素もしっかりと取り入れていた。足元に合わせた「ヴァンズ(Vans)」は、やはりさりげなくロゴが垂れている。
 
 「資本主義へのアンチテーゼをアイロニカルな形で表したかった」と話す森川だが、ブランドらしい強いメッセージを時に過剰な装飾で演出しながらも、同時にトレンド性のあるウェアラブルなアイテムをうまく組み合わせ、クレバーなコレクションに仕上げた。
 
 シンガポールの企業D'Leagueグループの傘下企業となって以降、アジアを中心に海外での展開を拡大してきた「クリスチャン・ダダ」。ヨーロッパでは、16-17年秋冬シーズンから、パリのセレクトショップ「コレット(Colette)」と取引を開始している。
 

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