2018/05/16
新生「ミュグレー」、ケーシー・カドワラダーの初コレクションを披露
2018/05/16
再スタートを切った「ミュグレー(Mugler)」が、「アクネ ストゥディオス(Acne Studios)」出身のケイシー・カドワラダー(Casey Cadwallader)をアーティスティックディレクターに迎えた初のコレクションを披露した。カドワラダーはメゾンのアーカイブを研究し、強い個性を持ちながらもよりコンセプチュアルな「ミュグレー」の新しい女性像を提案してみせた。

時期的な関係から、初コレクションに関してはランウェイでの発表が叶わなかったものの、次シーズンはパリでショーを行う予定だ。
ニューヨークにて非公開プレゼンテーションという形式で発表された今回のコレクションだが、同時にアルノー・ラジュニー(Arnaud Lajeunie)による写真作品を通しても披露されている。撮影はバルセロナやコスタ・ブラバなど、リカルド・ボフィル(Riccardo Bofill)によるポストモダン建築を背景に行われた。
キャスティングにもこだわり、ジェス・コール(Jess Cole)、鈴木亜美、ヴィヴィアン・ローナー(Vivienne Rohner)といったモデルから、メゾンのミューズであるデブラ・ショー(Debra Shaw)とエイミー・ウェッソン(Amy Wesson)、コレクションの一部制作にも関わったアーティストのサマラ・スコット(Samara Scott)、パリを拠点にするDJ、ダスティン・ミュシュヴィッツ(Dustin Muchuvitz)、フランス人水泳選手アンナ・サンタマン(Anna Santamans)、イギリス人女優アンナ・ブリュースター(Anna Brewster)、フランス人プロデューサーのヴェラ・マシアス(Vera Massias)、アメリカのラッパー070 Shakeまで様々な顔ぶれが登場。それぞれが「ミュグレー」の持つ一面を表現する。

18-19年秋冬コレクションでは、アパレル30型程度を展開する。カドワラダーが「実験への招待状」と表現している通り、創業者ティエリー・ミュグレー(Thierry Mugler)の「革新性とラディカルなデザイン」を受け継いだ。
「初コレクションでは昼と夜とを織り交ぜ、ミュグレーの彫刻的なDNAを様々な形で表現することで、多面的な女性性を扱った。デニム、レザー、プリント、そして色々なテクスチャーを用いて、大胆なクチュールとエレガントなドレープというブランドのボキャブラリーに落とし込んだ。こうしたコンセプトは今後も発展していくし、10月の初ランウェイでも変化を遂げることだろう」とカドワラダー。
肩とウェストを強調したシルエットは、ティエリー・ミュグレーのグラフィックで構築的なスタイルを思わせる。ケーシー・カドワラダーはそれをより多彩なニュアンスで再解釈してみせた。マラカイトグリーンのジャケットはビッグサイズだが、脇をレースアップすることでウェストがフィットしたラインを描く。また、ライダースジャケットにもソフトなレザーを使うことで、昔のものより柔らかいプロポーションを実現した。

建築を学び、コンテンポラリーアートにも造詣の深いカドワラダーだが、その影響はコレクションにも表れている。抽象モチーフのトレンチはアーティストのサマラ・スコット協業したもので、歯磨き粉やワセリン、ヘアジェルにフレグランス、日焼けローションといった商品を二層になったPVCに閉じ込めている。さらに、ジャージとオーガンジーを使ったドレスにはフラワープリントのコラージュが施され、スポーツウェアの要素もワードローブに取り入れた。
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