2020/01/23
パリ クチュール:ジャン=ポール・ゴルチエ、50周年のショーで有終の美
2020/01/23
1月23日、パリ オートクチュールファッションウィークで、ジャン=ポール・ゴルチエ(Jean-Paul Gaultier)がデザイナーとして最後のショーを披露した。劇場内で行われた盛大なランウェイで、50年のキャリアに終止符を打った。

ボーイ・ジョージが歌うエイミー・ワインハウスの「バック・トゥ・ブラック」で幕を開けたショーには、ファンキーでフェティッシュなルックが次々に登場。
キルトにアーミーブーツを纏った6人のダンサーは、伝説の「コーン」ブラコルセットを彷彿とさせる円錐が二つついた黒い棺を持ち出した。このコルセットは、1990年代にマドンナのツアーのために考案されたものだ。
ゴルチエの偉大なキャリアを物語るように、ドリス・ヴァン・ノッテン(Dries Van Noten)、二コラ・ジェスキエール(Nicolas Ghesquière)、高田賢三、クレア・ワイト・ケラー(Clare Waight Keller)、ヴィクター・ホスティン(Viktor Horsting)と ロルフ・スノラン(Rolf Snoeren)、クリスチャン・ルブタン(Christian Louboutin)と、客席には名だたるデザイナーたちが顔を見せ、フィナーレにはスタンディングオベーションを送った。

250ものルックが登場し、ヤスミン・ル・ボン(Yasmin Le Bon)、ロッシ・デ・パルマ(Rossy de Palma)、ジェイド・パーフィット(Jade Parfitt)、エリン・オコナー(Erin O’Connor)といったお馴染みの面々から、ベラ&ジジ・ハディッド(Bella & Gigi Hadid)姉妹、イリーナ・シェイク(Irina Shayk)といった若手のスターモデルまでが勢ぞろいした。
「50周年を祝うのに、ずっと好きであり続けてきたテーマを選んだんだ。ジーンズ、コルセット、セーラー、アンドロジニーをね」とゴルチエ。デザイナーとして最後のショーにはなるが、同時に「オートクチュール・アップサイクリング(Hute Couture Upcycling)」なる新ラインも打ち出している。無数のネクタイで作ったジャンプスーツが目を引いたのはもちろん、ミニジャケットとタイツという装いで現れた双子のメンズモデルが客席に降りていくと、大きなどよめきが起こった。

カレン・エルソン(Karen Elson)はサスペンダーをたくさん憑りつけたコルセットドレスで登場し、イリーナ・シェイクはかの有名なマドンナのコルセットとタキシードをドッキングしたルックを披露。
ブルーのボーダーセーターやセーラーパンツなど、ショーは16のテーマに分けられていて、ジジ・ハディッドはプリーツの"マリニエール"トップとホワイトのフレアパンツを纏ったほか、ベラはシースルーのストッキング風の素材にアールヌーヴォー調のフラワーエンブロイダリーを施したドレスで現れた。
得意の"トロンプルイユ"も健在で、例えばホワイトのギピュールレースでできたカラムドレスは、近くで見ると子供用のグローブを集めて仕立てられていることがわかる。

映画への言及としては、『時計仕掛けのオレンジ』の「ドルーグ」 風ルックや、肩にニワトリをあしらったレザージャケットなどファスビンダーの『ケレル』にオマージュを捧げたものも。
先日引退を発表して皆を驚かせたゴルチエだが、今後も何らかの形で活動していくのではないかと見る向きも多い。パフォーマンス・アートショー「Fashion Freak Show」も好調だ。
「ブランドに関しては今後の計画というのがもちろんありますよ。でも、今夜の主役はとにかくジャン=ポールです。引退というのは残念ですが、偉大なキャリアを祝福する素晴らしいイベントでもあります」とマーク・プーチ(Marc Puig)氏。
ベアトリス・ダル(Béatrice Dalle)が煙草を咥えて登場すると特に大きな拍手が沸き起こった。また、カーリー・クロス(Karlie Kloss)の纏ったプラスチックの梱包材を思わせる素材のボールガウンも印象的だった。
「私が子供の頃、母は父の古いパンツをスカートに仕立て直しているのを見ていたんだ。これがヒントになった。一つの服を、変化させて新しくすることができるんだとね。最初のショーから、特にジーンズを使ってやってきたことだ。ジーンズだよ!最初から最後まで一貫している」と話すゴルチエは、フィナーレにモデルやバックステージスタッフ全員に囲まれていた。
「すべてがインスピレーションを与えてくれる。新しい冒険でもそれは同じことだよ」。
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