2020/07/09
パリ メンズ:アートなテーラードと新進スター
2020/07/09
デジタル版パリ メンズファッションウィークが開幕した。新たなルックがほとんど登場しなかったクチュールに比べ、刺激的なファションに溢れた初日となった。特に「EGONlab」のデビューは素晴らしく、全体に漂うアートなテーラードムードを象徴していた。
トップバッターを務めた「エチュード(Etudes)」は、インディーズの映画監督Grégoire Dyerがパリで撮影された11分間の動画で、「Yes Future」と題したコレクションを発表した。オーバーサイズの白衣のようなコート、ボリューミーなパーカ、キース・ヘリングのイメージをあしらったストライプシャツ、ウールのスーツ、Roe Etheridgeによる鳥と夕焼けの写真を組み合わせたパッチワークシャツなどが目を引く。アーティなフォトグラファーにが捉えたアーティなストリートウェアは、オンラインでコレクションを発表するクレバーなやり方に思われた。
「CMMN SWDN」のクリケットストライプのブレザーやリネンのスーツもよくできていた。スウェーデン人アーティストのカール・ラーション(Carl Larsson)によるフローラルプリントのレザーシャツに加え、様々な着方ができそうなドレッシングガウンなど、クールな夏のワードローブを提案している。
新進ブランド「EGONlab」は、Kisolとコラボレーションしたビデオ「Renewal」を制作。パリのマレ地区を拠点にしたブランドで、ユーティリティウェアとミリタリーなディテールを、パンチの効いたグラフィックと組み合わせたスタイルが特徴だ。構築的なタキシードや、サバイバルテイストのハーネス付きウェストコート、ストリクトなハンティングジャケットやプリントシャツなどが印象的だった。今回は「セルジオ・タッキーニ(Sergio Tacchini)」とのコラボレーションも発表。気の利いたデザインとストリートなテイストで、新進ブランドの中でも注目を浴びそうだ。

午前の部を締め括ったのは「ウーヨンミ(Wooyoungmi)」で、ベテランではあるが今回は質素なビデオにとどまった。ウールのダブルスーツ、パッチポケットのデニムカーゴとキルトといったメンズアイテムや、ウィメンズのAラインドレス、カーキのアーミーシャツなども、やや大人しすぎた印象が残る。
「Blue Marble」のインクルーシブなテーマは興味深かった。タイダイの シャツ、トラックパンツ、マトラッセのコートに、見事なプリントのシルクシャツなど、モダンでサイケデリックなシックをうまく表現している。
一方で、7月2日にすでにオンラインでコレクションを発表してしまっていた「JW アンダーソン(JW Anderson)」は、今回はティーザーのみの公開となった。35秒間のビデオには、アーティストのCarlos Maria Romeroが、スケッチやスワッチ、写真などを貼り付ける様が映し出されている。どれもエディターたちに送られたボックスに入っていたものだ。難解だがクールな演出だった。
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