2019/06/24
パリ メンズ:「セリーヌ」がファッションウィーク締め括り ブリティッシュとフレンチが出会うテーラード
2019/06/24
ロンドン、フィレンツェ、ミラノ、パリと続いた一連のメンズ ファッションウィークシーズンは、エディ・スリマン(Hedi Slimane)手掛ける「セリーヌ(Celine)」のショーで閉幕となった。

ショーの開始と共に赤いカーテンのついた巨大なキューブがキャットウォークをゆっくり進み、徐々にその中にあるライトつきのメカニックなオブジェが露わになる。そこから登場したロックスター風のモデルは、スリムなスリーピースとナロータイに身を包んでいた。目元にはサングラス、胸元にはカーネーションが。
ブリティッシュなテーラードやモチーフをフレンチな感性で解釈した、まさに"英仏協商"的なコレクションと言えそうだ。無造作なヘアスタイルにデニムとチョークストライプをミックした着こなしは、どこかセルジュ・ゲンスブールを思い起させる。

「何か背景に語るべきストーリーが存在するわけじゃない。テーラリングとシルエット、アティチュードの純粋な表現なんだ」とエディ・スリマンはバックステージで語った。
フラットフロントのフレアパンツはデニムからピンストライプ、チョークストライプまで様々な形で見られ、そこにロングのリザードブーツをスタイリングするのが基本だ。
そこにダブルのブレザーやホワイトパイピングのデニムジャケット、真っ赤なベースボールジャケット、ホワイトのタキシードジャケット、カモフラージュ柄のトレンチに、クリケットカーディガンなどを合わせた。
さらに、少し先が読めてきた頃合いで、マイクロチョークストライプのバンカースーツをロックに仕上げたルックを投入。

スコットランドのケルティックロックバンドBodegaが特別に制作したサウンドトラックをバックに、アンヴァリッド裏に設営された巨大なテントの中で行われたショーは、内容も演出もどちらも大成功を収めた。スタンディング席には無数のファンが群がっている。
フロントロウの顔ぶれを見るだけでも、「セリーヌ」が順調だという事実がうかがえるはずだ。親会社LVMHのベルナール・アルノー(Bernard Arnault)会長は満面の笑みを浮かべ、初めてショーに連れられてきたティーンのように写真を撮っていた。
クリエイティブというよりはコマーシャルに傾きすぎた感もあり、スリマンのベストかと言われれば疑問が残るコレクションだ。しかし、シーズンを通して見てみれば、「セリーヌ」がメンズファッション界一の大きなビジネスであろうことは否定できない。アルノー会長の嬉しそうな様子にも納得がいく。
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