2018/06/21
パリ メンズ:「ルイ・ヴィトン」、ヴァージル・アブローがデビュー 機能的でリュクスなワークウェアを披露
2018/06/21
ヴァージル・アブロー(Virgil Abloh)が「ルイ・ヴィトン(Louis Vuittn)」デビューを飾る初コレクションは、パレ・ロワイヤルで発表された。会場前には彼の姿を一目見ようと大勢のファンが詰めかけていた。

フロントロウにはカニエ・ウエスト(Kanye West)、キム・カーダシアン(Kim Kardashian)をはじめ、名だたるセレブが姿を見せ、LVMHグループ幹部の顔もある。キャットウォークはレインボーカラーに彩られていた。
新任デザイナーはしばしば批判を受けるが、バランスよくアーティな要素とほんの少しのフェミニティを加え、ラグジュアリーなスポーツウェアを発表してみせたアブローは、スタンディングオベーションに迎えられた。
「ルイ・ヴィトン」初のコレクションは、自身のブランド「オフ-ホワイト c/o ヴァージル アブロー(Off-White c/o Virgil Abloh)」の精神を大きく受け継ぎながらも、エキゾチックな素材を用いたリュクスな感覚を上手く持ち込み、堂々としたルックに昇華している。
最初の17ルックはオールホワイトで、モヘアのダブルジャケットとフラットフロントパンツやワイドパンツ、光沢のあるテッキーなコットン素材にモノグラムのエンボス加工を施したスーツ、さらにオーガンジーを使ったシアーなアーミーパーカなど、テーラードの技術を見せつけるアイテムが登場。
ヴァージル・アブローはルーツをガーナに持ち、アメリカ・イリノイ州のロックフォードに育った。エンジニアリングと建築を学んだ後、カニエ・ウエストにクリエイティブディレクターを務めたが、2013年には自身のブランド「オフ-ホワイト」を立ち上げている。「ルイ・ヴィトン」のショープログラムによれば、本人は自身の故郷を「(アメリカ)中西部の実利的な価値観と、ユーティリティ重視のワークウェアが服の着方の決め手となり、意図せずして"反ファッション"の構図を形作っている場所」と言い表している。

ラウンドポケットのついたワークジャケットにはデニムではなくミンクを用い、それにホワイトレザーのバックパックを合わせたほか、同じ素材でオーバーサイズのスーツケースも提案している。
ポケットやポーチは至る所に見られ、現場労働者やハンターの実用的な精神を反映しているが、一方で常に素材は高級なものを使用している。他にも、キルトニットのサイクリングトップや、フェンシングベストなどのアイテムが目を引き、ハイパーリュクスなスポーツウェアのアイディアがそこここに転がるランウェイだった。しかし、先週のミラノでは精彩を失って見えたハイテクアスレジャーファッションとは上手く距離を置いている。

最後に姿を見せたアブローは、キャットウォークを全て歩ききってみせたが、その目には涙が浮かび、皆が盛大な拍手を送った。
LVMHグループのベルナール・アルノー(Bernard Arnault)会長も、3人の息子と共に「素晴らしい!」と称賛していた。
ヴァージル・アブロー起用の裏には、12年前の出会いがある。「ルイ・ヴィトン」のマイケル・バーク(Michael Burke)CEOは、2006年にカニエ・ウエストによって東京でアブローに引き合わされた。当時「フェンディ(Fendi)」のイベントにゲストとして出席していたカニエが、アブローをデザインチームの一員として紹介したのだ。
「ヴァージルに会った瞬間、彼と何かすることになると感じたんだ。彼には、本当にクリエイティブな人たちが持つ独特のオーラがあった。今日の成功はカニエのお陰でもある。感謝したい」とバークCEOは語っている。
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