2019/06/19
パリ メンズ:「オフ-ホワイト」、80年代NYアートと"ダサい"カレッジスタイルの出会い
2019/06/19
ヴァージル・アブロー(Virgil Abloh)は進化し続けている。今回パリで発表した「オフ-ホワイト(Off-White)」最新コレクションは感銘を受けるような出来で、バスキアやキース・へリング、アンディ・ウォーホル、フューチュラといった80年代ニューヨークのアートシーンと"ダサい"カレッジスタイルを見事に融合させていた。

「Plastic」と題されたショーのインビテーションは、透明のレコードを象ったもので、昨今のファッション業界における環境意識の高まりを表現したものだ。
会場のセットも素晴らしく、「少しの静けさを加えたかった」としてパーティクルボードを使った階段席を用意した。
最初に登場したのは、バックパックやハイキングギアといったアメリカのカレッジスチューデントスタイルで、素材にはリサイクルしたプラスチックを用いているという。ジップのレインポンチョにはフェンスのパターンとスケッチがプリントされ、防護服風のジャンプスーツの背中には大きく「Off」のレタリングが。また、オーバーサイズのブランケットショールをナイロンのトラックパンツに合わせたルックも見られたが、すべてブランドの矢印ロゴがあしらわれている。新しいハイキングブーツは商業的にも大成功を収めるだろう。
ナイトアウトやイブニングには、抽象プリントの躍るジャケット、スーツが登場したが、まさにロウアーマンハッタンのストリートアートを感じさせる。他にも、ジジ・ハディッド(Gigi Hadid)が纏うグラフィティのセットアップなど、フューチュラ的なイマジナリーを取り入れたルックはウィメンズでも見られた。

「フューチュラ2000、レニー・マクガー。彼の80年代の作品。ニューヨークでショーを行っていたアーティストの一派だね。彼らは尊敬を集めているけれど、大衆に知られる以前から、フューチュラはストリートウェアにとっても重要な人物だったんだ」とヴァージル・アブロー。
「プラスチックについては、まず最初にその特性を知るところから始めて、どうやってリサイクルできるのかも学んだ。僕のいた学校は環境についての研究が進んでいて、授業も充実していたからね。在学中はまさかこの知識がファッションデザインに活かせるなんて思ってもいなかったよ」。
バックステージにはいつも通りファンからラッパー、アーティスト、デザイナーなどたくさんの人が詰め掛けていたが、中には「バルマン(Balmain)」のオリヴィエ・ルスタン(Olivier Rousteing)の姿もあった。
「すごくよかったと思う。ヴァージルの強みは、自分のコミュニティをよく知っていることだ。そして、そういうクリエイティブでいたい若い人たちのためにデザインしている。だから『オフ-ホワイト』のアイテムを買うと、このコミュニティの一部になったように感じるんだよ。今の時代、デザイナーは皆そういうことがしたいと思って頑張っているけど、ヴァージルに並ぶ人はいないんじゃないかな」とルスタン。
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