2019/10/01
パリFW:「シャネル」、キャットウォークに闖入者?
2019/10/01
パリで発表された今シーズンの「シャネル(Chanel)」のショーは、まるで映画かと見紛うようなアクシデントに見舞われた。なんとそれを救ったスーパーヒロインは、他でもないジジ・ハディッド(Gigi Hadid)だ。

ショーのフィナーレでは、モデルに混じってウォーキングする見慣れぬ女性が登場したが、後にこの"闖入者"はフランス人ユーチューバーでコメディエンヌのMarie S’Infiltre(潜入マリー)だと明らかになる。彼女に立ち塞がったのがジジ・ハディッドだった。
今シーズンがカール・ラガーフェルド(Karl Lagerfeld)の後任ヴィルジニー・ヴィアール(Virginie Viard)にとって3度目のショーになる。若々しいフェミニティを感じらせるコレクションに仕上げた。
オープニングではクラシックなシャネルツイードのスーツが続いたが、ダブルのジャケットにはホットパンツを合わせていた。モデルはポケットに手を入れてフラットシューズで歩き、ノンシャランなアティチュードを見せる。

また、スカートやスーツ、フロックにラッフルを取り入れた新しいシルエットも打ち出したヴィアール。その後のブラックのルックでは、素晴らしいカッティングのコートドレスが目を引いた。頭にはキャノチェをスタイリング。
もちろん、デニムのフラメンコシャツやロゴプリントのドレスなど、成功していると言えないアイテムもあったが、それでもテーラーリングのアトリエをきちんと指揮できているという事実が窺えた。
ジジ・ハディッドはスパンコールを散りばめた身にボレロとホットパンツ、ゴールドのロゴ入りチェーンベルトを合わせ、ブラックのタイツとレザーのハイヒールを纏って登場した。
キャスティングにはもちろん多くの有名どころが起用されていたが、同時に、ほとんど少女とも呼べるような若年モデルの姿も目立った。確かに、コレクションを通じて、現代の若い女性が日常的に装う喜びを謳歌しているような印象だった。

会場のセットのテーマは、カンボン通りにある「シャネル」のアトリエから見える屋根の上の風景だ。窓や煙突まで細かくプリントで再現されている。ヴィルジニー・ヴィアールは、ココ・シャネル(Coco Chanel)のDNAに忠実に、ラグジュアリーと独立心を混ぜ合わせたエスプリを表現してみせた。クラッシィなスタイルも、フレンチな気取らなさを取り入れて柔らかく落とし込む。
「パリについて色々考えるの。屋根よりパリっぽいものなんてないでしょう?会場には大きなグランパレが使えるし、どうせなら映画のように大掛かりなセットを作ろうと思ったの。クリステン・スチュワート(Kristen Stewart)も素敵だけれど、ジーン・セバーグ(Jean Seberg)も登場するような映画を想像したわ」とヴィアール。
群衆に囲まれることもなく、グランパレの正面ドアからほとんど気付かれずに出て行った彼女は、確かにスターのようにメディアの沸くデザイナーではないかもしれないが、素晴らしい仕事をこなした優秀な女性だ。
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