2019/10/14
東京FW Day1: Yoshikiのロックなキモノで開幕 初日はスローな滑り出しに
2019/10/14
楽天を冠スポンサーに迎えての初シーズン「Rakuten Fashion Week Tokyo S/S 2020」は、Yoshiki手掛ける「ヨシキモノ(Yoshikimono)」のロックなショーで開幕した。他にも、テーマの通り「ぼんやり」とした繊細なランウェイを見せた「ティートトウキョウ(Tiit Tokyo)」やロシアのベテラン「タチアナ・パルフェノワ(Tatyana Parfionova)」の水彩画めいたコレクションなど、まずはゆったりとした滑り出しとなった。
「ヨシキモノ」のロックなショー

前回はランウェイに雨を降らせて話題となったYoshiki。今回の「ヨシキモノ」もファッションウィークに華を添えるショーとなった。洋服の袖をベルト代わりにしたり垂らしたりといった"脱構築的"な着方は最早定番となりつつあるが、元々体に巻き付る形で着る着物でもその自由な着こなしを再現してみせた。
オープニングに続いた「サンローラン(Saint Laurent)」風のカクテルミニドレスは、着物を後ろ前に着て帯でセクシーなシルエットを作ったものだ。ロングブーツにチョーカーを合わせ、ダークなアイメイクでロックな世界観を見せつけている。長さが自在に変えられるのも和服の特性だが、同じ着方でよりエレガントなロング丈も提案したほか、伝統的な着こなしのアイテムには目新しいプリントで差をつけた。マーベル(Marvel)や『進撃の巨人』といったコミックモチーフは、着物だけでなく帯にもあしらわれていた。
もちろん生演奏も披露したYoshikiは、フィナーレに真っ赤な薔薇が舞い散るキャットウォークで挨拶し、貫禄を見せた。ロックや漫画といったサブカルチャーに"キモノ"と、幅広い層に訴求し得る「クールジャパン」を凝縮したイベントに仕上がっていた印象だ。ショーのライブ配信はNiconico動画を介して行われ、業界人やファッションアディクト以外にも、別の分野のファンに対しファッションウィークをアピールした形になる。一般客を対象にしたBtoCの施策としても話題を集めることに成功したようだ。
「ティートトウキョウ」、「タチアナ・パルフェノワ」の描く風景画

「Blurs」をテーマに雨の日の日常風景を表現した「ティート トウキョウ」は、ニュートラルでくすんだカラーを基調に、流れるようなシルエットと軽い素材を使用し「ぼんやりとした」コレクションを披露した。都会の風景に溶け込む服というコンセプト通り、ベーシックでミニマルな柔らかいスタイルに仕上げている。
ロシアから初参加した「タチアナ・パルフェノワ」も、自然の風景を柔らかく表したルックが特徴だった。ボタニカルやフラワーといっても、大胆だったり鮮やかだったりする熱帯植物ともバロック調の絢爛な花々とも違う、牧歌的なの優しい草花や動物が水彩画のように丁寧に布に乗る。時に「和」の要素すら感じさせる意匠はサテンやオーガンジーの上にエンブロイダリー、パッチワークといった形で表現されていた。異素材の組み合わせや、スパンコール、フェザー使いと相まってクチュールのような印象もあったが、シルエットやスタイリングはシンプルだ。
どちらも柔らかく繊細で控えめ。ショーとしての"華"にやや欠ける感は否めないものの、ゆったりと余裕を持たせたスケジュールの滑り出しに見合った緩やかなスタートを切った。
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