2018/06/29
「アニエスベー」が多岐にわたるプロジェクト始動 パリの新店にアートギャラリー、ラジオ番組まで
2018/06/29
「アニエスべー(Agnès B.)」のデザイナー、アニエス・トゥルブレ(Agnès Troublé)は76歳になるが、40年間ブランドを率いてなお現役だ。それどころか今までになく積極的に活動を広げ、新しいプロジェクトはファッションからアートまで多岐にわたる。今秋には、パリに8店目のショップをオープンする予定だ。
16区のパリ市立ガリエラ美術館にほど近い新店舗は、「天井が高い210平米の広々したショップで、1930年代には郵便局だった古い建物の一階に入るの」とアニエス・トゥルブレ。パリ ファッションウィーク中にメンズコレクションをプレゼンテーション形式で披露したばかりだ。
他にも大きなプロジェクトとして、アニエス・べー財団ギャラリーの設立を目指しているという。アートに造形の深い彼女は、ギャラリストやメセナとしても知られており、写真から絵画、ストリートアート、彫刻にいたるまで、約5000点もの現代アート作品を収集してきた。ブランドのコレクションにもその影響は表れており、アーティストによるTシャツや、彼女自身が手がけたプリントも。「夜に写真を撮るのよ」とアニエスは笑う。
「アーティストとは、ほとんどが道端で知り合うの。ずっとグラフィティアートを展示してきたしね。ストリートアートやヒップホップカルチャーはよく知ってる。私のギャラリーは大衆のためのもので、手が届く価格の作品を販売するつもりよ。他のラグジュアリーな財団美術館とは全く違うわ!」と話してくれた。ジャン=ミッシェル・バスキア(Jean-Michel Basquiat)やキース・へリング(Keith Haring)とも交流があったという。
「ギャラリー・デュ・ジュール (Galerie du Jour)」の空間では足りなくなってきたといい、同所は閉鎖して新しい財団ギャラリーを創設する予定だ。「1300平米の広さがある」という新スペースにはブックショップも併設し、彼女のプライベートコレクションのほかにも、テーマ別で年に数回企画展を開催する。新しいギャラリーの住所は、偶然にもジャン=ミッシェル・バスキア(Jean-Michel Basquiat)広場だ。
さらに、ブランドのインターネットラジオ番組もスタートする。「アーティストとの対話が目的。色々な都市や国にいる画家やミュージシャンとの出会いを促すの」とアニエス・トゥルブレ。
「アニエスベー」は世界各国で展開されており、特に日本をはじめ、香港、台湾、中国と言ったアジア諸国が、本国フランスに並ぶ主要な市場となっている。しかし、ここ数年、売上はやや停滞傾向にあるという。2017年の売上高は、前年比4%減の2億6200万ユーロ(約337億5300万円)だった。現在世界286店舗で販売されている。
(2018年6月29日現在、1ユーロ=129円で換算)
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