2019/03/22
「グッチ」、多様性への取り組みに11億円以上を投資
2019/03/22
ファッション業界でも多様性が頻繁に議論されるようになっているが、「グッチ(Gucci)」はCSR(企業の社会的責任)強化を目指し、「Gucci Changemakers」プロジェクトを始動した。「本プロジェクトの一番重要な目的は、ファッションの世界に大きな転換をもたらすことにある。社会に与える影響と、様々なコミュニティーとの繋がりを強化していく」とし、1000万ドル(約11億円)以上を費やす意向も明らかにしている。
ケリング(Kering)の中核ブランドである「グッチ」は先月、黒地に赤い唇を描いたバラクラバセーターが黒人差別の象徴である「ブラックフェイス」を連想させるとして大きな批判を浴びた。
該当商品の販売はすぐに中止され、「多様性は我々の根幹をなす価値観で、尊重されなくてはなりません。どんな決断をするときでも真っ先に考慮するものです。社内でも多様性の促進に努めるつもりです。『グッチ』のチームだけでなく全員が今回の件から重要な教訓を得ました」とメゾン側も公式に謝罪を発表している。
同件を受けて始まったプログラムでは、主に4つのイニシアチブを想定しているという。多様性とインクルーシブに関するグローバルディレクター職を新設するほか、デザイン面での多文化研究に関する奨学金を設け、最終的にはそれぞれバックグラウンドの異なる5人の人材をローマにあるクリエイティブスタジオに起用する。さらに、全世界1万8000人の従業員に対して多文化への理解を深める研修を用意し、社内でも各地から選ばれた3名を本社に招待して交流を図る企画も予定されている。
「グッチ」のマルコ・ビッザーリ(Marco Bizzarri)CEOは、「対話、関係の構築、そして素早い対応が重要だと考えている。我々が至らなかった部分を補うため、すぐに行動に移したのもそれが理由だ。『Gucci Changemaker』プログラムは、我々のインクルージョンと多様性に関する取り組みの成果と言える」と説明する。特にアフリカ系アメリカ人コミュニティとの知的な交流を促進、支援していきたいとも語った。
従業員のボランティアも奨励する予定で、4日間をボランティア活動や社会支援、環境保護、教育や機会均等促進などに充てることができる。
また、財務面では500万ドル(約5億5000万円)相当の「Changemaker Fund」なる基金を設立し、「北米の様々な都市における地元コミュニティに向けたイニシアチブを支援する」という。アジア太平洋地域に関しても、今年6月からやはり500万ドルの基金を設ける。
これに加えて、北米にはさらに150万ドル(約1億6500万円)を投資し、ファッションを学ぶ学生に対する奨学金に充てる。特別に結成した評議会「Changemakers Council」が4年間で計70名を選ぶ予定だ。
(2019年3月22日現在、1米ドル=110円で換算)
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