2015/09/21
「アイスバーグ」、リブランドで再スタート
2015/09/21
1974年にシルヴィオ&ジュリアナ・ジェラーニがイタリアで創立し、ニット・スポーツウェアを得意としてきたブランド、「アイスバーグ(Iceberg)」。80年代には、ジャン・ジャック・ドゥ・カステルバジャックを迎えて大きな成功を収めた。それが今シーズン、大きくリブランドを果たして再スタートを切る。
今回のミラノ・ファッションウィークで発表される2016年春夏コレクションは、新クリエイティブディレクターのアルトゥール・アルベッサー(Arthur Arbesser)が手がける。ウィーン出身の彼は若干33歳の若手デザイナーだ。また、9月26日にオープンする旗艦店では、ランウェイに並んだアイテムがショーの翌日に手に入るという。
ミラノの旗艦店はフロア面積250平方メートルの2階建て。ラグジュアリーなショップが並ぶエリア、ヴェッリ通りの4番地にオープンした。建築家のハンネス・ペーア(Hannes Peer)が手がけた内装は、コンクリートとメタルを基調にした空間にネオンの照明が合わさり、インダストリアルな雰囲気に仕上がっている。いくつか設置された大きなパネルには、コレクションイメージと無地の画面が入れ替わり表示され、空港の広告を思わせるような仕掛けが施されている。
「アイスバーグ」は2年前からリブランドに努め、「アドバンスド・コンテンポラリー」ブランドとして、高いクオリティーの商品を比較的手の届きやすい価格で提供する戦略を進めてきた。ブランドを傘下に収めるジルマール・グループは、他にも「N°21(ヌメロ ヴェントゥーノ)」を始めとした多くのブランドのライセンスを所有しており、「アイスバーグ」の商品の販売にも携わってきたが、このたび同ブランドの販売事業は終了。今後は、「クレージュ(Courrèges)」、「フィリップ・リム(Phillip Lim)」、「オープニング・セレモニー(Opening Ceremony)」なども手がけている、247ショールーム(247Showroom)に委託するという。
「もっとインターナショナルで、クールなイメージの販売展開をしたいと考えていた。また、当社が所有するイベント会場の『ペロータ(La Pelota)』を、単なるショールームではなく、ミラノの新しいファッションスポットにしていきたい。今回は、『アイスバーグ』のショー会場に、いつもの『ペロータ』とは違う会場を選んだ。ブランドの新しいスタートを印象づける」とジルマールグループの社長、パオロ・ジェラーニ(Paolo Gerani)は語った。
2014年の6月に就任したクリエイティブディレクター、アルトゥール・アルベッサーはウィメンズコレクションを担当す。アーカイブを徹底的に研究し、ブランドの世界観を吸収することに努めた。前任のアレクシス・マーシャル(Alexis Martial)は、現在「カルヴェン(Carven)」に移籍して活躍している。また、メンズコレクションに関しては、現在デザインチームが手がけているものの、近いうちにこちらもリブランドの対象になるだろうとのこと。
「『アイスバーグ』のウィメンズコレクションには、これまで多くの偉大なデザイナーが携わってきた。マーク・ジェイコブス(Marc Jacobs)、『ディースクエアード(Dsquared2)』のディーン&ダン・ケイティン(Dean & Dan Caten)、ジャンバティスタ・ヴァリ(Giambattista Valli)……。大半の人が、彼らのクリエーションに思いを馳せることだろう。こんな歴史を持ったレーベルを手がけることができるなんて、自分のような若手デザイナーにとっては、本当に贅沢なことだ」とアルベッサー。「グラフィックや色使い、そしてニット」に重点を置き、コレクションに新しい風を吹き込むという。
「『アイスバーグ』は常にアートと共にあった。アルトゥールは芸術に強い関心を持っているが、コンセプチュアルに傾きすぎず、ミニマルなやり方でそれをコレクションに落とし組むことができる人物だ。ブランドに相応しい」とパオロ・ジェラーニは付け足す。
現在、イタリア国内に4店舗の直営店を構える『アイスバーグ』。さらに、18店舗のフランチャイズ、そして、中国・ロシア・アラブ首長国連邦などを中心に多くの専門店、セレクトショップで販売されている。
年末までに9店舗の新規開設を予定しているほか、2016年上半期には、マカオから上海まで、アジア地域を中心に展開していく。2015年、ジルマールグループの連結売上業績予想は売上高9000万ユーロ(約121億8100万円)となっているが、『アイスバーグ』ブランドだけで4000万ユーロ(約54億1400万円)を見込んでいるという。
(2015年9月21日現在、1ユーロ=135円で換算)
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