2020/06/08
「シャネル」、2020-21年クルーズコレクションをオンラインで発表
2020/06/08
「シャネル(Chanel)」は、2020-21年クルーズコレクションをオンラインで発表した。カプリ島の風景をバックにパリのスタジオで撮影されたビデオがライブ配信された。

「Balade en Méditerrané(地中海めぐり)」と題されたコレクションでは、クリエイティブディレクターのヴィルジニー・ヴィアール(Virginie Viard)らしい若々しくロマンティックなルックが登場。3月の新型コロナウイルス感染拡大以降、大手ブランドとしては初となるオンラインでの取り組みだ。
ジュリアン・プジョル(Julien Pujol)が撮影したビデオには、カミーユ・ユレル(Camille Hurel)、カーリー・ロイス(Karly Loyce)、クリス・ハーマン(Cris Herrmann)、ミカ・アルガナラス(Mica Argañaraz)らが出演した。背景にはナポリ湾や古代ローマの遺跡が広がる。
「ショーの会場として、最初に頭にあったのがカプリ島だったの。結局ロックダウンで叶わなかったけれどね」とヴィルジニー・ヴィアール。「工夫する必要があったわ。用意していたテキスタイルを使うだけでなく、コレクション全体も地中海をめぐる旅というのを意識して作った。海に浮かぶ島々や、ユーカリの香り、ブーゲンビリアのピンクの色合いなんかをね」。
ルックブックはカリム・サドリ(Karim Sadli)が取り下ろした。淡いピンクのツイードスーツは、ボレロジャケットのインナーにシークインのブラを合わせ、ウィンドウペンチェックのフレアパンツはセットのタンクトップとスタイリング。ビビッドピンクのカーディガンとホットパンツといったルックなど、すべて「60年代の名女優たちにインスパイアされた、自由で気取らない姿勢」を体現したものだ。往年の名女優たちは皆、イタリアやフレンチリヴィエラでバカンスを過ごした。
カクテルスタイルには、サーモンピンクのレザーパンツスーツや、ラメのトランスパレントな素材で仕立てたブーゲンビリアドレスなどが登場。イブニングウェアとしては、セミシアーなブラックのバットウィングシフォンドレスや、シースルーのコートドレスとブラックのブラを合わせたルックが目を引いた。
デニムからラフィアまで様々な素材を使ったキルティングバッグをはじめ、新作のマイクロマトラッセバッグ、「CC」ロゴのパールイヤリング、クリスタルをあしらったチェーンベルトといった小物づかいも見逃せない。

「コンパクトなスーツケース、ショッパー、ハンドバッグなんかに入れて持ち運べるようなワードリーブよ」ともヴィアールは話す。確かに着回しのききそうなアイテムが揃っていた。
動画の最後には、「2020年11月発売」との言葉もある。コレクション発表直後に一般販売を開始する「See Now Buy Now」のシステムから距離を置いている「シャネル」だが、今回も例外ではないようだ。メゾンはクチュール、レディ・トゥ・ウェア、メディエダール、クルーズという年6回のコレクション頻度を守っている。
5月7日に予定されていた「シャネル」のクルーズショーは、「ディオール(Dior)」、「グッチ(Gucci)」、「ジョルジオ・アルマーニ(Giorgio Armani)」、「プラダ(Prada)」、「マックスマーラ(MaxMara)」といった他のメゾン同様、パンデミックによりキャンセルを余儀なくされた。
音楽のセレクトも良く、動画は洗練されたバケーションウェアを上手く提案できていたものの、やはり「シャネル」が毎回見せてくれる実際の豪奢なファッションショーと比べれば見劣りすることに変わりはない。
先週末には、コレクションのティーザー動画として、1997年にカール・ラガーフェルド(Karl Lagerfeld)がカプリ島を訪れた旅にも言及。ラガーフェルドは当時マラパルト邸を撮影したが、今回はマッシミリアーノ・ボンバ(Massimiliano Bomba)がやはりマラパルト邸を取り下ろした。同地はジャン=リュック・ゴダール(Jean-Luc Godard)監督の『軽蔑』の舞台としても知られる。主演のブリジット・バルドー(Brigitte Bardot)がビキニ姿で邸の屋根に横たわるポスターが、ヴィアールの手でクレバーに取り入れられた。
今夏はヨーロッパの名だたるファッションウィークや展示会が見送りとなっており、今後6週間の間にデジタル形式でのイベントが多数予定されている。6月13日からは、ロンドン ファッションウィークがオンラインで3日間開催される。
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