2019/05/24
「ジョルジオ・アルマーニ」、東京でブランド初のクルーズランウェイ開催
2019/05/24
「ジョルジオ・アルマーニ(Giorgio Armani)」は5月24日、東京国立博物館でブランド初となるクルーズコレクションのランウェイショーを披露した。デザイナー本人は12年ぶりの来日となる。

国内有名人から安藤忠雄やユマ・サーマンまで多くのVIPが見守るなかアルマーニが披露したのは、得意のコマーシャルなテーラリングとレッドカーペット的華やかさに満ちた豪奢なコレクションだった。今回はメンズ・ウィメンズ両方のルックが発表されている。
「日本の文化は美しいものをたくさん作りだしてきた。他に類のない美学というか、ある種のストイックなシンプルさがある。現代建築のようなミニマルさと、何層も重なった歴史の重みが混ざり合っているのさ。だから日本が好きなんだ!」とショーの前の記者発表会で話したジョルジオ・アルマーニ。
フルイドなパンツ、ダブルジャケット、デニムで仕上げたカシミヤジャージーのジャケット、ネイビーのカシミヤセーターやホワイトのスニーカーといったアイテムが目を引く。
ウィメンズのルックでは、アルマーニらしい柔らかなシルエットがしっかりしたショルダーラインから流れ落ち、マスキュリンなテーラードの要素をプラスしている。ハウンドトゥースやピンストライプのパンツスーツなど、ワーキングウーマンに向けた提案も。べっ甲のモチーフはチュニックのプリントからブレスレット、ハンドバッグなど様々なピースに登場した。

やはりべっ甲風の加工を施したシルクやジャカードのロングガウンのようなイブニングアイテムも揃え、合計122ものルックがキャットウォークに並んだ。
「ルイ・ヴィトン(Louis Vuitton)」や「ディオール(Dior)」、「シャネル(Chanel)」はこの十数年間大々的なイベントという形でクルーズコレクションを発表してきた。しかし、今回が「アルマーニ」にとって初のプレコレクションショーとなる。
メンズウェアでは体のラインを引き立てるソフトなテーラードが目立った。素晴らしいカッティングのニットジャケット、ショールカラーのピーコート、ダスターコートに、スポーティなピースも。もちろん得意のスーツも多数登場している。カラーパレットは、チョコレート、ブラウン、ベージュが基調だ。

「『ジョルジオ・アルマーニ』では、コーヒーブラウンがグレーに取って代わる色だよ」とアルマーニ。3日間の滞在中に京都にも旅行したそうだ。
アルマーニが初来日したのは80年代初めのことで、森英恵、カール・ラガーフェルド(Karl Lagerfeld)、ペリー・エリス(Perry Ellis)、ザンドラ・ローズ(Zandra Rhodes)と共に各国を代表するデザイナーとして「The Best Five 81」に招かれた。
「あの頃はまだ駆け出しのデザイナーだったので、招かれるなんて思ってもみなかった。カールとフェアチャイルド氏(当時の米WWD編集長)が目をかけてくれていたんだ。どうやてブランドを率いていくかということも彼らが教えてくれた。その時、この国が僕の人生にとってとても重要になるだろうと感じた」とジョルジオ・アルマーニは当時を懐かしむ。
アルマーニ/銀座タワーもリニューアルオープンしたばかりだ。
「『アルマーニ/銀座タワー』リニューアルで来日することは知っていたけれど、今回のコレクションで特に日本を意識したわけではなかった。だから、もしこれを明日ミラノで発表したとしても問題ないんだ。たくさんのバイヤーも待っているし。でも、東京に着いたときに思ったんだ。このコレクションはいつもよりモダンで、よりリラックスした仕上がりだとね。『アルマーニ』であることに変わりはないけれど、日本風のレンズを通して見たものだ。私の思い描く日本人女性に向けた服だよ」。
「アルマーニ」ブランドが下火になってきたと見る向きもあるだろうが、今後2年で増収への転換を目指しており、実際独立を保っている大手ラグジュアリーブランドとしては世界でも稀有な存在だ。
「東京で街を歩いていると、たくさんの人が『アルマーニ』を着てくれていて嬉しいね。日本人はアルマーニ本人より『アルマーニ』だ」とアルマーニは笑った。
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