「ヴィクトリアズ・シークレット」CEOが退任へ

  米下着ブランド「ヴィクトリアズ・シークレット(Victoria’s Secret)」のジャン・シンガー(Jan Singer)CEOが退任するという。ウォールストリートジャーナル紙が報道した。親会社のLブランズ(L Brands)グループは業績不振に苦しんでいる。

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Victoria's Secret 2018 - Spring-Summer2019 - Womenswear - New York - © PixelFormula

  シンガーCEOは10年以上ナイキ(Nike)で管理職を務めた後、米下着ブランド「スパンクス(Spanx)」での2年を経て「ヴィクトリアズ・シークレット」のトップへ就任した。
 
 ここ数年で、ランジェリー業界は体型やジェンダーなど多様性を意識したインクルーシブな"ボディ・ポジティブ"志向へと移行してきており、「ヴィクトリアズ・シークレット」はそうした流れへの対応に苦戦している。ブランドは常に完璧な体型の"エンジェル"たちを前面に押し出すマーケティングの方向性を変えようとはしていない。
 
 特に毎年開かれる大規模なランウェイショーはその代表で、先日も2018年版のイベントが開催されたばかりだ。今年は米『Vogue』誌のインタビューに応えたLブランズのエド・ラゼック(Ed Razek)CMOの発言が物議を醸した。ラゼック氏はトランスジェンダーをショーに用いる必要性を感じないといった見解を述べたが、これがSNS上で大きな批判を浴び、後に発言を撤回し謝罪している。しかし、最初の発言を鑑みるだけでも、Lブランズが多様性やインクルーシブといった時代の価値観に適応しきれていない事実がうかがえるだろう。
 
 シンガーCEOは「ヴィクトリアズ・シークレット」のCMOとして元「カルバン・クライン(Calvin Klein)」のジャン・パリッシュ(Jann Parish)を起用しブランドの新時代を予感させたが、実際のところ大した変化は見られず、パリッシュCMO自身も最近になって退任の意向を表明している。
 
 ブランドが提案してきたセクシーでデコラティブなランジェリーは、シンプルで快適な下着を求めるナチュラル志向の消費者が増えつつある現代において、魅力を失いつつある。シンガーCEOも、フィット感を重視したコンフォートなブラを打ち出して見直しを図ったものの、さほど成果を上げていない。
 
 Lブランズの第3四半期の業績は、速報値で「ヴィクトリアズ・シークレット」の既存店売上が2%減少している。
 
 「ヴィクトリアズ・シークレット」の本国アメリカでの売上は下がり続けているが、最近ではフランスに待望の一号店を出店する計画が明らかになった。今後は国外への拡大で勝機が訪れるかもしれない。
 
 後継者に関しての発表はなされていないが、第3四半期の業績発表を行う11月19日に明らかになる見込みだ。

 

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