2017/11/06
「ベルスタッフ」を英イネオスグループが買収
2017/11/06
マイケル・コース(Michael Kors )が買収した「ジミー・チュウ(Jimmy Choo )」に続き、JAB ラグジュアリー(JAB Luxury)は「ベルスタッフ(Belstaff)」を売却する。残る「バリー(Bally)」については身売り先を引き続き探しているものの、「ベルスタッフ」は石油化学事業を手掛ける英イネオス(Ineos)が取得することが決定した。買収金額については非公表。

当紙の取材に対し、イネオスグループは「ベルスタッフ」取得の事実を認めたものの、詳細については明かさず、「イネオスが初めて投資するラグジュアリーブランドとなる」とだけ話した。
同グループは発表資料の中で、「ベルスタッフグループ(Belstaff Group)をJAB ラグジュアリーから取得することを受け入れた」と説明している。2017年第4四半期より、ブランドおよびブランドの事業は全て、独立した子会社という形でイネオスグループの傘下に収まる予定だ。「『ベルスタッフ』に関するイネオスの方針については、時期が来れば発表する」という。
元の親会社JABがドイツ企業であったことを鑑みると、「ベルスタッフ」にとってはイギリスと言う原点に戻った形とも言える。ブランドは1924年にマンチェスターで設立され、通気性が良く水を弾く衣服を実現するため、初めてワックスコットンを用いたことでも知られている。
スティーブ・マックイーンやマーロン・ブランドから、ブラッド・ピット、ジョージ・クルーニーまで、ハリウッドスターに愛用されてきた「ベルスタッフ」。2004年には、伊ヴェネツィアのフランコ・マレノッティ(Franco Malenotti)が自身の会社クロージング・カンパニー(Clothing Company)を通してブランドを取得。同社は、1991年からイタリアにおける「ベルスタッフ」のライセンスを所有していた。そしてその後2011年、ブランドはJAB ラグジュアリーに売却されることとなる。
売却先のイネオスは、現在までファッションに関わる事業を手掛けた前歴はない。創業者のジム・ラットクリフ(Jim Ratcliffe)は大富豪としても知られるが、1998年に大手石油グループが持て余す石油化学工場を世界中で買収し始めた。
2015年にも同じコンセプトのもと、各地の自動車生産工場を買収。現在グループは1万8000人の従業員を抱え、22ヵ国に105の工場を展開している。年間売上高は400億ドル(約4兆5700億円)。
(2017年11月6日現在、1米ドル=114円で換算)
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