2019/10/17
「ヘルムート ラング」、マーク・ハワード・トーマスがクリエイティブディレクター退任 「ラコステ」へ
2019/10/17
「ヘルムート ラング(Helmut Lang)」のクリエイティブディレクター、マーク・ハワード・ト―マス(Mark Howard Thomas)が、就任から2年で退任することがわかった。その後パリへ戻り、「ラコステ(Lacoste)」でルイーズ・トロッター(Louise Trotter)」のチームへ参画。10月21日付でメンズファッションショー・グローバルコラボレーションディレクターに就任する。

先月のニューヨークファッションウィークで発表したコレクションでは、意外な素材使いでシャープなテーラリングを披露し、クールなダウンタウンスタイルで高い評価を受けたばかりだ。
本人はインスタグラムとフェイスブックに、パリ・オルリー空港で大荷物を持って佇む自身の写真を投稿し、「パリへ帰ってきました(MHT has moved back to Paris.)」とコメントを添えていた。
本紙に対して、トーマスは「ヘルムート ラング」を退任しパリにて新しい職に就くとだけ明かし、詳細に関しては伏せていた。しかし、「ラコステ」側は同氏の就任を認めている。
「ヘルムート ラング」では、メゾンのコードを再構築し、19世紀ウィーン風ルダンゴトなど創業者のDNAをオーセンティックに蘇らせた。ヘルムート・ラングが使っていたモレスキンを使い、クラシックなレタリングにも立ち返った。
ブランドの"駐在編集者"に選ばれた"駐在デザイナー"第一弾、「フッド・バイ・エアー(Hood By Air)」のシェーン・オリバー(Shayne Oliver)によるスペシャルコレクションは賛否両論を巻き起こし、一時は迷走している様子だった「ヘルムート ラング」。トーマスをデザイナーに迎え再び活気を取り戻しつつあると思われた矢先の出来事であるだけに、多くの疑問もわき上がる。
メゾンには、マーク・ハワード・トーマスの他に、トーマス・クローソン(Thomas Crawson)がジーンズ部門のデザイナーとして携わっており、この9月に発表されたショーには両者が関わっていた。

「ヘルムート ラング」の今後について質問したが、ブランドの広報担当者は現在のところ本紙の取材に応じていない。
マーク・ハワード・トーマスは、「ジョゼフ(Joseph)」を経て「ヘルムート ラング」に入社し、2018年秋冬コレクションでデビューを果たした。アンドリュー・ローゼン(Andrew Rosen)CEOに直接リポートしていた。
ロンドンの名門セントラル・セント・マーチンズ(Central Saint Martins)でマスターを取得した後、ミラノの「ニール・バレット(Neil Barrett)」でキャリアをスタートしたトーマス。パリでリカルド・ティッシ(Riccardo Tisci)時代の「ジバンシィ(Givenchy)」に関わった後、「ジョゼフ」のメンズウェアディレクターとしてロンドンへ移った。
一方の「ヘルムート ラング」は、創業者ヘルムート・ラングが1977年にウィーンにて設立。86年にパリで初のショーを行うと瞬く間に評判となり、そのシャープなテーラリングと高機能素材の組み合わせが話題となった。90年代後半にはニューヨークへ拠点を移し、ヨーロッパのシーズン前にコレクションを発表することで業界に一石を投じている。アメリカのデザイナーたちもそれに続き、現在の形式となった。
99年にプラダグループ(Prada Group)に事業を売り渡し、その2年後にはリンク・セオリー・ホールディングス(Link Theory Holdings)(現リンク・セオリー・ジャパン)がブランドを取得した。その後は8年間に渡りマイケル&ニコル・コロヴォス(Michal & Nicole Colovos)夫妻がデザインを手掛けた。ラング本人は現在事業に一切関わっておらず、ニューヨーク州ロングアイランドでアーティストとして活動している。
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