2019/12/12
「グッチ」、2020年プレフォールのルックをローマで撮影
2019/12/12
アレッサンドロ・ミケーレ(Alessandro Michele)率いる「グッチ(Gucci)」が、ローマで撮りおろした2020年プレフォールコレクションのルックブックを公開した。

撮影はブルース・ギルデン(Bruce Gilden)が手がけた。曇天の下のテベレ川沿いで撮影されたショットには、イエローレザーのロゴダスターコート、バイオレットのスカートにパープルのスエードブーツをまとったモデルが、川の中洲部分にあたるティベリナ島に佇むものも。
他にも、レトロな映画の世界を思わせるシークインドレスや、オレンジのレースエンブロイダリーを施したライムグリーンのリネンカフタンにブラックのパテントレザーグローブをスタイリングしたルックなどが目を引いた。往年の大女優ベネデッタ・バルツィーニ(Benedetta Barzini)も出演したが、76歳の彼女はファッションアイコンとしても知られる。ダイアナ・ヴリーランド(Diana Vreeland)がアーヴィン・ペン(Irving Penn)に撮らせた写真は有名で、1965年にはイタリア版「ヴォーグ(Vogue)」の表紙を飾ったこともある。

ルックブックは56ページにも及び、高架下やトラムの線路脇などで撮影された写真には、どれもミケーレのシアトリカルかつクレバーな洗練が感じられる。百科事典のように膨大な知識によるリファレンスと、エッジィでグラマラスなスタイルも健在だ。
ローマでは欠かせないコロッセオももちろん登場。ハワイアンなフローラルプリントをまとったモデルの後ろに垣間見えるほか、活動家としても名高いベテランモデル、ベサン・ハーディソン(Bethan Hardison)も、コロッセオの前でチェックのコートとフローラルモチーフのハット、ニーソックスにローファーという出で立ちで写真に収まっている。ハーディソンは60年代に「アリュール(Allure)」と「ヴォーグ」両誌で、ファッションにおける人種の壁を打ち破ったパイオニア的な存在だ。1973年にヴェルサイユ宮殿で行われた伝説的な「Battle of Versailles」ショーにも出演している。

ほとんど朽ちたローマ時代の橋ポンテ・ロットや、ムッソリーニ時代のに建設されたコルソ・フランチャの橋など、多種多様なモデルがローマのあらゆる場所でポーズを取る。
2013年公開のイタリア・フランス合作映画『グレート・ビューティー/追憶のローマ』の中で、主人公がこう話すシーンがある。「26歳でローマに着たとき、即座に、ほとんど無意識に、"ハイライフ"の歯車のようなものの中に入っていた。しかし、私は"ハイライフ"だけでは物足りなかった。その中で王様になりたかったんだ」。
ミケーレは、ファッションの中でそれを体現してみせたのかもしれない。
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