2019/11/29
「H&M」がストックホルムで新コンセプトをローンチ
2019/11/29
「H&M」が11月29日、スウェーデン・ストックホルムのセルゲル広場店に新しいストアコンセプトを導入した。

今回リニューアルオープンした新旗艦店はニュートラルカラーで纏められ、内部は開放的な吹き抜けのロフト風になっている。「Beauty Bar」も併設され、店舗と同じく午前7時半に開店し、出勤前にネイルやメイクアップのサービスを受けられるほか、内部のコーヒートラックでドリンクをテイクアウトすることも。
しかし中でも注目されているのがレンタルサービスだ。ウェディングドレスやドレッシーなトップスを含む50点ほどのセレクションをロイヤリティメンバーに対して貸し出すシステムで、1週間の料金は350スウェーデンクローナ(約4000円)。対象商品の小売価格は599~3000スウェーデンクローナ(約6900円~3万4400円)となっている。
「3年前からリサイクルプロジェクトを始めました。エクスクルーシブアイテムやオケージョン向けの商品が対象で、うまくいくと信じています。セレクトしたアイテムはどれも高価ですが、一度着て終わりといったことが多いので」とH&MのPascal Brunヘッド・オブ・サステナビリティ。

パーソナルスタリストの助言が受けられるフィッティングを予約も可能で、一週間に最大3点がレンタルできる。アイテムはすべて、サステナブルな素材を使用した「コンシャス・エクスクルーシヴ(Conscious Exclusive)」の2012年~2019年コレクションからセレクトされている。
「どのアイテムも今でも十分モダンに見えるので、誇らしく思っています。それに、『コンシャス・エクスクルーシヴ』コレクションは、オーガニックコットンや海洋ゴミをリサイクルしたものなど、サステナブルな素材を使っている。」とMaria Östblomヘッドデザイナーは話す。
今回は試行という形で、まずは3ヶ月間実施して様子を見る。その後他の店舗や他のカテゴリに派生していく可能性もあるという。「どれだけの店舗で実施する予定かと言われると、正直言って言い切るのが難しい」とBrun氏。

H&Mグループは今年10月にリセールプラットフォーム「Sellpy」にも出資しているほか、フランスのラグジュアリーコングロマリット ケリング(Kering)が主導するエコ協定「Fashion Pact」への参加を表明するなど、すでに積極的な環境への取り組みを行っている。
他の店舗と同様、今回新装開店した旗艦店にもリサイクルボックスが設置された。2019年に回収した衣類は2万5000トンにも上る計算だという。Tシャツで換算すると1億5000万枚だ。
回収した衣類はベルリンのパートナー企業I:Collectへと送られ、再着用・再利用できない場合は細かく粉砕されて車のシートや家具に使用するか、あるいは織物繊維にリサイクルされるという。

セルゲル広場旗艦店には、「Beauty Bar」の他にもリペアサービス「H&M Take Care」が併設されている。このサービスは、フランス、イギリス、オーストリア、オランダ、スカンジナビア諸国にも近年導入された。
「国によって違った好みがありますね。スウェーデンではパッチやジッパーをつけて修復することが多く、フランスはカスタマイズが人気です。オランダは完全に違う服にリメイクしたいという要求が多い」とBrun氏は笑う。
店舗で消費するエネルギーも95%が再生可能なもので、ライティングは消費電力の少ないLEDになっている。また、「H&Mアプリ」を使えば、「コンシャス・エクスクルースヴ」コレクションラベルをスキャンすることで、生地のサプライヤーから縫製工場の名前と住所まで検索することができる。
「全てのサプライヤー情報をウェブサイトに載せています。これは我が社が最初だ。今は商品ごとに掲載していますが、どうしてもコントロールしきれないのがコットンですね。我々が使っているコットンの供給元のほとんどはきちんと把握できているのですが、ただ一つ、紡績だけがネックです。それでも、一つ一つの工場の"DNAタグ"に向けて取り込んでいます。透明性を信じてやってきました」。
不許複製・禁無断転載
© 2023 FashionNetwork.com