2017/05/04
「シャネル」17/18年クルーズショー、ラガーフェルドが見せる"ヴィーナス"
2017/05/04
5月3日、「シャネル(Chanel)」がパリにて2017-18年クルーズコレクションを発表した。グレーと白を基調にしたインビテーションに描かれたテーマは、グレコローマンスタイルのヴィーナス像だ。
「La Modernité de l’Antiquité(古代の現代性)」と題された今回のコレクション。グランパレ内に設置された会場は、ギリシャのスニオン岬にあったというポセイドン神殿を思わせるもので、大きな柱やオリーブの樹、海に日の沈む様子などが再現されている。
ツイードやウールクロシェットのミニドレスなどは、やはり古代ギリシャの石造建築や陶器を思わせるくすんだカラーが基調に。カクテルドレスには古ボイオティア様式の文様が描かれ、ゴールドとクリスタルの胸当てはディオニュソスの女性信奉者たち、マイナデスを思わせるものだった。
「子供の頃から熱中していたものを、ファッションを通して表現した。私が初めて読んだのはホメロスだった」とカール・ラガーフェルド(Karl Lagerfeld)はプログラムに綴っている。
1992年、ジャン・コクトーは、自身の戯曲『アンティゴネ ソポクレースからの翻案』の舞台衣装をシャネルに依頼している。舞台美術はパブロ・ピカソが手がけた。しかし、今回のカールが見せた古代ギリシャ像は、より大胆なものだ。モデルの多くは露わな腕にヘビをかたどった金のバンドをつけて登場し、頭には金属製のアカンサスの葉やシルクのバンドを纏っていた。足元のイオニア式建築の柱のようなヒールや、古代ギリシャ風サンダルから、ゴールドとブルーのブレスレットまで、アクセサリーも全て現代の女神に相応しいものだ。
ラガーフェルドが初めて古代ギリシャを題材にしたのは2014年のことで、ハンブルグ美術館での「Modern Mythology(現代の神話)」展では、ドイツ古典主義の画家アンゼルム・フォイエルバッハの作品と並べて彼の写真が展示された。
カール・ラガーフェルドは、アクティブで自立した、女性の美の純粋な表現としての"ヴィーナス"を示してみせた。「古代、つまり古典の美の基準は、やはりギリシャにある。女性をあれほど美しく表現してみせた例は他にない。エネルギーと意外性に溢れた、世界の青春だ。まるで神々のように」と語る。
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