AFP-Relaxnews
2019/05/22
「ナイキ」、パナマ先住民族の伝統デザイン盗用問題で該当モデルの発売中止
AFP-Relaxnews
2019/05/22
パナマの先住民族であるグナ族(Guna)のコミュニティが、彼らの伝統的なデザインを盗用したとして「ナイキ(Nike)」に抗議したことを受け、同社は該当スニーカーの発売を中止することを発表した。
グナ族側の弁護士団によると、「ナイキ」が「エアフォース1(Air Force 1)」新作モデルに部族の伝統工芸である「モラ(mola)」のデザインを無断で使用し、コミュニティの知的財産権を侵害したという。彼らは6月6日に発売予定の該当モデルについて、販売を中止するよう求めていた
AFPの取材に応じた「ナイキ」の広報担当者は、「『ナイキ エアフォース1 "プエルトリコ"2019(Nike Air Force 1 'Puerto Rico' 2019)』モデルにおいて、デザインが不適切な形で用いられたことを謝罪します。申し立てを受け、商品の発売は中止しました」と話す。
グナ族の弁護士Aresio Valiente氏は、商品の発売中止にとどまらず、「グナ族の人々のスピリチュアリティの一部」に対する損害賠償を求めているとAFPに語った。
「我々のデザインの違法な模倣であり、ナイキ社は我々に賠償するべきだ」とValiente弁護士。ナイキにはすでに「抗議文を送った」という。
一部メディアにおける「ナイキ」の商品説明には、該当モデルはプエルトリコへのオマージュであり、同地に生息するコキガエルを表しているとの表記がある。
しかし、グナ族族長のBelisario Lopez氏は、「ナイキのスニーカーに描かれた『モラ』がグナ族のものだと知っていたはずだ」とパナマシティで開かれた記者会見で主張した。
パナマやコロンビアに居住するグナ族だが、特にサン・ブラス諸島のクナヤラには大きなコミュニティがある。サン・ブラス諸島は地球温暖化による海面上昇による危機にも晒されている。
「グナ族にとって、『モラ』は国旗のようなものです。『モラ』は彼らの文化的アイデンティティの根幹をなしているのです」と20年以上に渡りグナ族を研究しているバルセロナ大学のMonica Martinez教授。
同氏によると、先住民族がデザイナーや大手企業による知的財産権侵害を訴えるケースが年々増加しているという。
「世界知的所有権機関(World Intellectual Property Organization)でも議論されており、先住民族の人々からも何か対策を講じるべきだという声が上がっている。しかし、現状では何の対応もありません」。
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