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12年ぶりの来日、ジョルジオ・アルマーニの語る日本とファッション

掲載日
today 2019/05/28
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 日本でブランド初のクルーズショーを行ったジョルジオ・アルマーニ(Giorgio Armani)。『アメリカン・ジゴロ』でリチャード・ギアの衣装を担当して以来、映画と深い繋がりを持つが、しかし日本とも80年代からの長い付き合いだ。
 
 1981-82年秋冬コレクションでは、黒澤明監督の『影武者』にインスパイアされたコレクションを披露した。84歳のアルマーニは当時をこう振り返る。
 
 「素晴らしいストーリーの映画だよ。コレクションの出来も誇らしく思っている。でも、あまり売れなかったんだ。それで気付いたんだが、あれはアイディアばかりが勝って、純粋にアルマーニ的なものでなかった。私の仕事は皆を喜ばせることで、ショックを与えることではないからね」。

Giorgio Armani 2020 cruise collection


 今回の来日は12年ぶりとなるが、本人は東京に戻れたことをことのほか喜んでいるようだ。日本人の「繊細な目と趣味の良さ」、そして「過去と現在が交じり合う」ところが気に入っていると熱心に語った。
 
 銀座にある旗艦店「アルマーニ/銀座タワー」もリニューアルオープンしたばかりで、11階建ての建物を一新。6種の大理石を使い、ミラノ市内のオフィスにあるフレスコ画を電光パネルでディスプレイする演出も。

 「アルマーニ/銀座タワー」は2007年にオープンした。オリジナルの外装には触れていないが、下層階のバンブーモチーフや、プラチナの「GA」ロゴが新たに追加されている。
 
 「リース契約によると、十年後とに改装する必要があるみたいでね。私にとっても都合が良い。けれど、銀座に革命(レボリューション)をもたらしたいわけじゃなかった。ただ、静かな進化(エボリューション)でよかったのさ」。

リニューアル後の「アルマーニ/銀座タワー」


 存命する中では最も有名なイタリア人デザイナーであるジョルジオ・アルマーニだが、ビジネスの方は近年やや失速している。2017年の売上高は7%減の23億5000万ユーロ(約 2875億4600万円)だった。しかし、昨年のEC事業は6000万ユーロ(約73億4200万円)相当の売上を計上するなど成長を見せており、ロレアル(L’Oreal)とのライセンスによる「ジョルジオ アルマーニ ビューティ(Giorgio Armani Beauty)」も好調だ。さらにキャッシュに関しては10億ユーロ(約1223億6300万円)を超える。
 
 どの国でも偉大なデザイナーとして尊敬を集めるアルマーニは、日本ではバブル期にブームになったこともあり特に高い人気を誇っている。
 
 「昨日東京を歩いていたら、アルマーニに身を包んだ紳士に声を掛けられた。『アルマーニ』を30年間着続けているというんだ。握手をしたら感動したようで、泣き出してしまったんだよ」。

 日本滞在中は京都にも足を延ばした。「京都に観光をしに行ったんだけど、とても面白かった。歴史があって美しい街だ」とアルマーニ。「街中で一緒に写真を撮ってほしいと頼む人は皆、手が震えていてね」。

 また、イタリア大使館では日本百貨店協会が「感謝の会」を主催したほか、2011年の東日本大震災後に日本ユネスコ協会連盟を通じて被災者へ奨学金を支給したことで、奨学生制度を利用した若者から感謝状が手渡された。

ジョルジオ・アルマーニと日本の学生


  先日のカンヌ映画祭では、クエンティン・タランティーノ監督の『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』に出演したレオナルド・ディカプリオがアルマーニを着用した。「レオは長いこと着てくれているからね。とてもエレガントに見えるよ。ただレッドカーペットで面白いのは、色々なアイディアやスタイルを提案しても、結局皆クラシックなタキシードに落ち着くところだ」とアルマーニは笑う。
 
 日本でのショーは、欧州議会議員選挙のただ中で開催された。今の欧州情勢についてはこう語ってくれた。「ヨーロッパとイタリアが、我々の大事なものを取り戻してくれればと心から願っているよ。愛と美、開かれた精神と好奇心だ。大変な時代が早く過ぎてしまえばいいね。世界は暴力的になってしまった。人々は挨拶すらろくにしない。良き習慣と、アイロニーや誠実な心に立ち返りたいと思う」。
 
 金曜日にショーが終わると、アルマーニは早々にプライベートジェットでミラノに引き返してしまった。ドナルド・トランプ大統領との鉢合わせを避けるためだ。
 
 最初はミラノのリナシェンテ百貨店でウィンドウディスプレイを手掛けていたアルマーニ。ファッションの世界に足を踏み入れてから50年以上が経つが、この業界の未来をどう見ているのだろうか。
 
 「とても興味深く見守っているよ。楽観的とか悲観的とかいうことではなくね。これから起こる劇的な変化すべてを見届けることはできないかもしれないが、未来を恐れたりはしていない」。
 


(2019年5月28日現在、1ユーロ=122円で換算)

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