2017/10/06
18年春夏シーズン、ベストショー20
2017/10/06
ニューヨーク、ロンドン、ミラノ、パリと世界4大ファッションウィークが終了。450近いランウェイショーの中から、特に印象的だったトップ20のショーを紹介する。
シャネル

ファッションは若者の遊びだという人々もいるが、今シーズン最高のショーは80代のデザイナーが成し遂げた。「シャネル(Chanel)」のカール・ラガーフェルド(Karl Lagerfeld)は巨大なヴェルドン渓谷を作り上げ、プレスチック素材を中心にした素晴らしいコレクションを披露した。すべてがユニークな体験だ。オリジナルな素材に関して言えば、ファブリックディレクターのキム・ヨンスン(Kim Young-Seong)の仕事は誰にも真似できない。
ロエベ

ユネスコ会館の壁にフォトグラフィックタピスリーを並べたアーティスティックなセットの中、ジョナサン・アンダーソン(Jonathan Anderson)手掛ける「ロエベ(Loewe)」は、センシュアルなデイウェアと、ロゴマニアスタイル、そして今シーズン最も面白いバッグを発表した。
サンローラン

ラグジュアリーの巨大コングロマリット同士、ランウェイショーの出来をも競うよう無言の争いが続いているが、今シーズンはケリング(Kering)の「サンローラン(Saint Laurent)」に軍配が上がった。トロカデロ庭園の噴水の上、サッカー場ほどもある広いキャットウォークを世知氏、エッフェル塔に照らされながらのショー。アンソニー・ヴァカレロ(Anthony Vaccarello)が提案する大胆で非常にセクシーなコレクションはメゾンのDNAに忠実で、共同創設者のピエール・ベルジェ(Pierre Bergé)が逝去して2週間というタイミングに相応しいものだった。
ヴァレンティノ

「ヴァレンティノ(Valentino)」を手掛けるピエールパオロ・ピッチョーリ(Pierpaolo Piccioli)は、アクティブスポーツ、メンズウェア、そしてロマンスを上手く混ぜ合わせ、美しい服に落とし込み、フレッシュなファッションを提案した。メンズウェア、ウィメンズウェア、そしてオートクチュールを、同じメゾンのもと一手に引き受け、それぞれに素晴らしい仕事ができるデザイナーは他にいないだろう。
ルイ・ヴィトン

18世紀のクチュリエがスポーツウェアに出会ったら。二コラ・ジェスキエール(Nicolas Ghesquière)がルーヴルの中で披露した「ルイ・ヴィトン(Louis Vuitton)」コレクションは、アスレジャーの終わりとバロックの再来を高らかに歌い上げた。ロココなロック、「Rococo'n'Roll」と呼ぶべきだろう。
グッチ

アレッサンドロ・ミケーレ(Alessandro Michele)による「グッチ(Gucci)」のショーは、古代とナイトクラブが混ざった煌びやかなセットが強烈だったが、コレクションにも新しい洗練が感じられた。グラニースタイルと、ルネッサンスの貴族、そしてロックな美学が混ざり合い、嵐のようにファッションを浚っていく。会場の外には、ファンやブロガー、ファッショニスタたちが頭からつま先まで全身「グッチ」のコーディネートで詰めかけ、まるでヴェニスのカーニバルと言った様相だった。
アルチュザラ

ジョゼフ・アルチュザラ(Joseph Altuzarra)がパリに華々しく凱旋を飾った。デザイナー自身も昔通った高校を会場に、キルトのラムジャケットや素晴らしいドレーピングを披露し、大きな成功を収めた。
バーバリー

「バーバリー(Burberry)」のショーを見るためには、抗議の声を上げる動物愛護団体の波をかき分けなくてはならなかった。しかしその甲斐あって、逆さにしたレジメンタルコートでできたスカートやジャケットなど、面白いコレクションが見られた。さらに、貴族的なミリタリールックを素晴らしいテーラリングで実現し、ロンドンに"王党派"が舞い戻ったことを感じさせた。
アーデム

アーデム・モラリオグル(Erdem Moralioglu)は、ウィンザー城で女王のプライベートワードローブを研究し、素晴らしいコレクションを作り上げた。女王が50年代ハーレムのジャズ歌手になった、そんなファンタジーをデューク・エリントンの『The Queen’s Suite』に乗せ、アザミ・リーキ・バラを刺繍したボールガウンや、ドラマティックにフレアするじゃカードのコートドレスなどを披露。まさにファッションの王政復古だ。
カルバン・クライン

グラフィック、レタリング、デニス・ホッパーのイメージ、ウォーホルのカークラッシュ、ロゴが至る所に。ラフ・シモンズ(Raf Simons)の「カルバン・クライン(Calvin Klein)」は、二度目の"アメリカンドリーム"を描いて見せた。シモンズはブランドのミニマリズムと手を切り、影響力のあるコレクションを発表し続けている。ウールのプレイドチェスターコート、デニムジャケット、ウォーホルプリントのジーンズなどは、世界中のストリートを席巻することだろう。
クリーチャーズ・オブ・ザ・ウィンド

今シーズン最も輝いていた若手デザイナーだろう。「クリーチャーズ・オブ・ザ・ウィンド(Creatures of the Wind)」が披露したのは、ヴィンテージな60年代風サイケデリックコートを再構築したものや、異素材を用いたバイカラーのラップコート、ブラックのスワロフスキークリスタルをあしらったパテントレザーのトレンチなど、アメリカのブランドでは珍しいアーティザナルな側面を見せてくれた。
ジャクムス

ピュアなドレーピングの習作が、非常に印象的だった。シンプルなブラウス、ラップスカート、モノカラーのコットンカクテル、上半身をふわりと包むジャージなど、デリケートでいてセクシー、センシュアルなコレクションを披露した「ジャクムス(Jacquemus)」。ピカソ美術館で披露した今回のショーは、亡き母ヴァレリーに捧げられたものだ。パリのファッションウィークの幕開けに相応しい、知的でセンシュアルな仕上がりだった。
セリーヌ

フラップ付きのテント風ケープで始まった「セリーヌ(Céline)」のショー。中にはパーフェクトなカッティングのカーキのリネンスーツを合わせたフィービー・ファイロ(Phoebe Philo)は、メゾンに新しいシルエットをもたらした。相変わらず説得力のあるショーを続ける彼女だが、それに肩を並べられ者は中々いないだろう。
ヴェルサーチ

ドナテラ・ヴェルサーチ(Donatella Versace)が、兄のジャンニ(Gianni)の死後20年を記念してオマージュを捧げたコレクションには、彼のデザインの影響が随所に見てとれた。彼の凄惨な最期ではなく、黄金時代を思わせるものだ。クライマックスは今シーズン最も印象に残るフィナーレだった。ドナテラが、カーラ・ブルーニ(Carla Bruni)、クラウディア・シファー(Claudia Schiffer)、ナオミ・キャンベル(Naomi Campbell)、ヘレナ・クリステンセン(Helena Christensen)、シンディ・クロフォード(Cindy Crawford)と、往年のスーパーモデル5人を伴って登場すると、会場はスタンディングオベーションとなった。
ボッテガ・ヴェネタ

トーマス・マイヤー(Tomas Maier)は、「ボッテガ・ヴェネタ(Bottega Veneta)」でのエレガントな自身のコードを破り、ここ数年でも一番の出来となるコレクションを披露した。大理石とネオクラシックな建築、粋な美しさが、活き活きとしたヴィヴィッドなファッションマニフェストに。
マーク・ジェイコブス

「マーク・ジェイコブス(Marc Jacobs)」のクラシックなカッティングとスタイルを、ボリューミーなトロピカルテーマで表現し、ここ数年でも指折りのショーとなった。昨年、親会社のLVMHはブランドに不安があることを発表したものの、これで安泰だろう。
バレンシアガ

数シーズンの間は、メゾン「バレンシアガ(Balenciaga)」のコードに従ったデザインをしてきたデムナ・ヴァザリア(Demna Gvasalia)だが、今回は自身のアーティーでストリートなテイストを加えた。マネープリントのドレスや、スクリーンセーバー柄のレギンスブーツ、マルチプルレイヤーのパンツなどを発表。パリの環状道路外にある巨大な倉庫が会場となった。
プラダ

女性アーティストによるカートゥーンイメージが、「プラダ(Prada)」のショーのキーとなる。会場の壁にも巨大なイラストがあしらわれ、素晴らしいゴートスキンコートをはじめ、様々なアイテムに取り入れていた。コートの背中では、女性のキャラクターが「I love Prada」と言っている。多くの女性がコレクションを気に入ることだろう。
コーシェ

パリ・サンジェルマンFCのユニフォームやエンブレム、スポンサーロゴにフィーチャーしたルックには、アクティブスポーツウェアとストリートシックの見事な出会いがあった。ミックスし、変形し、アヴァンギャルドなスタイルに昇華する。「コーシェ(Koché)」を手掛けるクリステル・コシェール(Christelle Kocher)は、フランスでも指折りの反骨精神を持ったデザイナーだ。
アレキサンダー・マックイーン

サラ・バートン(Sarah Burton)による「アレキサンダー・マックイーン(Alexander McQueen)」のコレクションは、イングリッシュガーデンに捧げた賛歌にパンクロックなツイストを加えたものだった。エッジィでロマンティックなファッションは非常に新鮮で、新しい美を追求する様はモードの科学者と呼んでも良い。
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