2019/10/03
4大ファッションウィーク:2020年春夏トレンド総括
2019/10/03
ニューヨーク、ロンドン、ミラノ、パリの4大ファッションウィークで発表されたコレクションに見られた女性像は、エコロジーの意識と過剰への欲求に揺れる複雑なものとなった。リサイクルなど環境に配慮した素材はもちろん、ベーシックなアイテムやミニマルなシルエットが多く見らえた今シーズン。色使いも控えめなパステルカラーが主流に。しかしその反動か、一方では大胆な色使い、豪奢な素材と過剰なほどのボリュームなど、バロックなスタイルも復権している。特に18世紀風のトレーン、クリノリン、リボン、パニエ、ジゴ袖などが目を引いた。
1)"グリーン"ファッション

高まる環境問題への意識はランウェイにも影響を与えた。文字通り"森"を設置し後に使用した木を植林した「ディオール(Dior)」や、リサイクルした段ボーとプラスチックでジャングルを作った「マルニ(Marni)。さらに「石油流出」をテーマにした「マリーン・セル(Marine Serre)」のショーも。モチーフとしても植物は様々は形でコレクションに登場し、中でも「ヴィヴィアン・ウエストウッド(Vivienn Westwood)」の鳥の巣を象ったボリュームハットや、「ノワール ケイ ニノミヤ(Noir Kei Ninomiya)」の植物を頭に直接乗せたようなルックなどは印象的だった。
2)ミニマルベーシック

ミウッチャ・プラダ(Miuccia Prada)は、環境への負荷を考えた結果、ベーシックで着回しできるアイテムでクレバーなワードローブを提案した。サマードレス、スカート、パンツ、ショーツ、ジャケット、ニットなど、どれもクラシックなアイテムが、モノクロームや自然素材を使ったルックとして登場している。ホワイトのトータルルックは様々なランウェイに見られた。
3)パステルカラー

ベビーブルーやパウダーピンク、ソフトなグリーンにペールイエローなど、パステルカラーがあらゆるコレクションで使われていた。フレッシュでデリケートな色使いが来シーズンのマストになりそうだ。
4)タオル・パイル地

6月のメンズシーズンでもトレンドに浮上したパイル地がウィメンズのワードローブにも進出してきた。「ピーター・ピロット(Peter Pilotto)」のカラフルなアイディアや、「アフターホームワーク(Afterhomework)」のように蚤の市で見つけた素材を再利用するブランドも。また、よくある白いタオルでビスチェドレスを仕立てた「ブロニャーノ(Brognano)」、水泳選手に着想を得た「ベネトン(Benetton)」の提案も面白い。
5)クロシェ・マクラメ

70年代風のボヘミアンスピリットが香るマクラメのドレスやバッグは、この数シーズン継続して人気を博しているが、来シーズンはいよいよ主役級のトレンドに躍り出てきそうだ。新しい傾向としては、リサイクルという要素も外せない。
6)マキシトート

これも人気継続中のビッグなバッグがさらに巨大化して登場。特にマリン風のセーラーバッグがトレンドアイテムとして注目されそうだ。
7)パンツスーツ

パンツスーツブームも本格化している中、素肌やブラの上から直接ジャケットを羽織るスタイリングがトレンドに。長さもショルダーラインもメンズライクなジャケットにゆったりしたパンツやフレアパンツを合わせたスーツは、ホワイト、ブラック、ベージュといったニュートラルカラーから、パステル、ビビッド、ネオンカラーまで様々なトーンで展開されていた。
8)アシンメトリー

アシンメトリーなシルエットも多く見られたが、特にワンショルダーが目立った。もう片方の袖は長かったりボリュームがあったりと対照的だ。Tシャツ、トップ、ドレープドレスやイブニングルックにも肩を露出するデザインが。背中の開きも広がってきた印象だ。
9)技ありトレンチ

非常にクラシックなものから少し捻りを加えたモデル、あるいは驚くようなデザインまで、トレンチコートは本当にどのランウェイにも登場した。特に「ジュンヤワタナベ・コムデギャルソン(Junya Watanabe Comme des Garçons)」のジャケットやスカート、イブニングドレスに七変化するトレンチは目を引いた。
10)18世紀風

イブニングにはミニマルウェアを脱ぎ捨てて、マリー・アントワネット風の過剰な装飾に身を包むのが来シーズンのトレンドに。大きなハット、トレーンを引くドレス、ボリュームのあるパニエ、クリノリン、巨大なリボン、ジゴ袖にレースなど18世紀的な要素が多く見られた。
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