H&Mグループ、労働者に適切な賃金を保障していないと批判

  サプライヤー工場の労働者たちに"生活賃金"を約束せず、不当な残業を強いているとして、へネス&マウリッツ(Hennes & Mauritz)(以下、H&M)グループを複数の団体が非難している。

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H&M Studio - Fall-Winter2018 - Womenswear - Paris - © PixelFormula

 ブルガリア、トルコ、インド、カンボジアにあるH&Mグループのサプライヤー工場6社で働く従業員62人に聞き取り調査を行ったところ、全員が生活していくのに最低限必要な金額に満たない賃金で働いていることが明らかになったという。
 
 近年、国外のサプライチェーンにおける労働条件の改善が叫ばれ、大手ブランドにも重圧が掛かっている。
 
 2013年には、世界中で繊維業に従事する労働者85万人余りに対し、5年間以内に生活賃金を保障するとの宣言がなされた。しかし、クリーン・クローズ・キャンペーン(Clean Clothes Campaign)(CCC)によれば、H&Mは同宣言にある約束を果たしていないという。
 
 「H&Mグループは即座に対策を講じ、低賃金および労働者の権利侵害の問題を解消すべきである」とCCCのBettina Musiolek氏。
 
 一方のH&M側は、少なくとも600社の工場と93万人の労働者に対して生活賃金を保障する自社規則を適用したと反論しており、CCCの提案する理念を共有することには懐疑的だ。
 
 「"生活賃金"に対する万国共通の基準は存在せず、賃金のレベルは労働が行われる国において雇用主と労働者代表の間で交渉されるべきであって、西洋のブランドが一方的に定めるものではない」とH&Mグループの広報担当者。
 
 カンボジアのH&Mグループ下請け工場では、試算された生活賃金の半分以下の額しか支払われていないことがわかったとCCCはレポート内で述べている。また、インドとトルコではさらに低く3分の1程度だった。

 さらに、多くの労働者が法律で定められた時間を超えた残業を行なっており、それに対して正しい賃金が支払われていないともCCC。中には限界まで残業しても最低賃金しか得られないケースもあり、これは国連が定めるところの強制労働に相当するという。

 「我々が望むのは中身のない広報活動ではない。サプライチェーンで働く労働者の実際の賃金に対して、透明かつ目に見える変化を求める」と話すのは、米国を拠点とするInternational Labor Rights Forum(ILRF)のJudy Gearhart代表だ。
 
 ILRFはH&Mに対し、期限を定めた賃金引き上げ計画の発表を求めており、パーチェシングの見直し方法についても説明するよう呼びかけている。
 
「生活賃金の問題はブランド一つにとどまらないが、賃金引き上げに取り組んでいる企業は本当に少ない」とNGO団体倫理的貿易イニシアチブ(Ethical Trading Initiative)のPeter McAllister氏は話す。H&Mは同団体のメンバーでもある。
 
「繊維縫製業に携わる全ての労働者に適切な賃金を保障したいなら、産業全体で行動を起こすことが重要だ」と、以前グループのCEOはトムソンロイター財団に話していた。

 

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