ITS創設者インタビュー:「デザインのみにとどまらず作品の意味や伝え方まで考える、成熟した若手が増えている」

 イタリア・トリエステで7月12日〜13日、今年で12回目となる欧州最大のファッションコンテスト「ITS(イッツ)」が開催された。このコンテストの創設者でありディレクターを務めるBarbara Franchin(バルバラ・フランキン)に、今回のコンテストの総括と最近の傾向についてFashionMagが話を聞いた。


Barbara Franchin


FashionMag(以下、FM): 2013年度の開催は苦労されたとか?
Barbara Franchin(以下、BF): 経済危機の影響で公的機関からの補助金が廃止され、今年は非常に厳しい状況となりました。公的支援は当コンテスト予算の10%に過ぎませんが、運営には大きく影響します。財政的に厳しい状況となったことにより、組織の合理化を余儀なくされました。しかし、「ITS」の開催には大規模な準備が必要となります。このコンテストを主催するEve社には10人の社員がおり、開催が近づくと約80人のスタッフを増員します。通常、前年9月に世界各地のファッション教育機関をめぐり、毎年1000人以上の候補者を対象に第一次審査を行います。その後、審査員を選出し、第二次審査を経て、ファイナリストによるランウェイショーを開催します。今年は主要スポンサー(訳注:ディーゼル、YKK、スワロフスキー)に加えて「Swatch(スウォッチ)」がパートナー企業として参加し、無事にコンテストを終えることができました。

FM: ファイナリストのコレクションや世界中の候補者の作品を合わせると、膨大な数になりますね。ファイナリストはポートフォリオ(作品集)を見て選ばれるわけですが、最終的に発表したコレクションが期待外れだったことはありますか?
BF: 候補者のポートフォリオは、プロジェクト段階のデザインや卒業制作など、5〜8点のミニコレクションであることが多いです。本当に素晴らしい作品もありますが、変わったポートフォリオもありますね。セメントのブロックや氷の塊のほか、動物の剥製や、引き出しにデザイン画を詰め込んだ家具が送られてきたこともありました。ただ、そういった奇抜なポートフォリオの中に、素晴らしい作品が含まれていることは少ないです。

FM: 最もクリエイティブな国は?

BF: 近年はアジア諸国が注目されています。日本人、韓国人、中国人は非常に積極的ですね。プロジェクトを理解してもらおうという情熱が伝わってきます。モチベーションが高く、自分のイメージ通りの作品を作りたいという意志が強く感じられます。特に、経済成長に伴い、欧州など国際的な環境で学ぶ中国人や韓国人が増えているようです。一方、経済が低迷している欧州では学費の高さからファッション教育を受ける若者が減り、欧州出身の学生は減っています。

FM: 今年の傾向は?
BF: 素材にこだわった作品が目立ちました。最先端技術を用いたアプローチも依然として多いですが、同時に、素材にフォーカスしたコレクションが増えています。例えば、従来の手法を使わず、素材を生かして彫刻のように仕上げたジュエリーなどが見受けられました。全体的に、とても成熟した若手が多いと感じます。自分自身が作る作品の意味や、それをどのように伝えたいのかをしっかりと把握しています。ただ洋服を作るだけでなく、それをとりまく背景についても考えているのです。デザインすることだけで満足せず、経験を積み、さまざまな角度からファッションを作り上げていこうとする姿勢が感じられます。

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